エギングの基本はチューブラーということで、カラマレッティープロトタイプDue862MLの後継として購入したのがこの16スーパーカラマレッティー872MLです。
16年モデルですがまだモデルチェンジがされていないロッドです。
OLYMPIC 16 スーパー カラマレッティー GSCS-872ML
アクション:Fast
ウェイト(g):103
仕舞寸法(cm):134
エギ(号):2.0~3.5
PEライン(号):0.4~1.0
定価(税抜):78000円
一時期、ソリッドティップでのエギングにはまってチューブラーモデルから離れていましたが、再び戻ってきたタイミングで購入したのがこのロッドです。
ソリッドティップを使ってアタリを取る釣りは居食いのような反応の出ないイカもとれるメリットがありますが、北西風が吹き始めるとロッドが煽られメソッドが成立しなくなります。
特に冬エギングは爆風が基本なので、ソリッドティップを生かす場面が少なくなります。
また、フリーフォールの方が明らかに反応が良い時や、イカの活性が高い時はそちらの方が勝負が速いので、ソリッドティップを使わない場面も出てきます。
Due862MLがレギュラーフォーストなのに対して、スーパーカラマレッティー872MLはファーストテーパーのロッドになります。
良くも悪くもこのファーストテーパーであることが最大の特徴のロッドです。
仕様
自重
メーカー表記で103gです。
ただ、プロトタイプDueから比較するとかなり装飾を削って自重を確保した、実用的な軽量化であることがわかります。
逆に以前までは装飾を優先してブランクスの方で軽量化を図っていた?と疑いたくなるほど、今回はスッキリとしたデザインになっています。
グリップエンドのロゴも消滅してスッキリとしています。
左からエサゴナーレ、Due、16スーパーカラマレッティー
上からエサゴナーレ、Due、16スーパーカラマレッティー
デフォルトのフックキーパーも廃止。
リールシートのシールも立体的なものから二次元的なシールに。
上からエサゴナーレ、Due、16スーパーカラマレッティー
ブランクスのロゴ部分もスレッドで2段に別けていたのを一段で完結するように。
エサゴナーレのマジョーラカラー塗装や、Dueのブルーとグリーンの塗装も廃止。
こうみると、16スーパーカラマレッティーが一番安そうに見えますw
とにかく、無駄な装飾を排除して実戦に特化した仕様にしたかったというのが伝わってきます。
ガイド
ティップ以外はチタンフレーム、トルザイトリングのKガイドです。
KRコンセプトが採用されており、飛距離は出やすいセッティングになっています。
王道なセッティングでこの辺りは不満点はありません。
ガイドの大きさも丁度良い感じです。
継ぎ
インロー継ぎ、スピゴットフェルールです。
ただ、ここでも軽量化なのか、継ぎ目のカーボン補強が短く、薄くなっていますw
ブランク
トレカT1100G
メインブランクスにトレカT1100Gを使用しているとのこと。
かつては高弾性素材と言われていましたが(というか皆言っていた)、M40Xが発表されてからは中弾性と言われるようになりましたw
実際は弾性率のインフレにおいていかれた、といった感じなのでしょうか。
33tなので低いわけではないですが、46tなどと比較すると低い、ということなのか・・・
トレカT1100Gに関しては最先端のテクノロジーすぎて正直良くわからなかったので調べてみたところ、
30tが強度のピークでそれ以上の弾性率になると強度が低下する、というカーボン繊維の特徴を、限界突破して33tで強度のピークに達したのがトレカT1100G、らしいですw
そう聞くとかなり凄い素材であることがわかります。
つまり、トレカT1100Gは感度がどうとか粘りがどうやらなど目に見える部分ではなく(それも目に見えるとは言い難いがw)、破断強度が増した、というテクノロジーのようです。
ナノアロイ
今では決行お馴染みのテクノロジーです。
カーボン繊維をつなぎ合わせるレジンに、粘る素材が使われ破断強度がアップした、というものです。
こちらも本来なら目には見えない部分かもしれませんw
本来なら破断しやすかった弾性率のカーボンに耐久力をもたせた、というテクノロジーでしょう。
G-MAPS
こちらもお馴染み、シマノのスパイラルXやダイワのX45にあたるオリムピックのブランクス構造です。
異なる方向のカーボンシートを重ねて潰れ剛性と捻れ剛性を強化しているとのこと。
ブランクス構造に関する技術です。
クワトログラファイトクロスXX
立体的にカーボンが織り込まれた立体的な4軸カーボンです。
6軸組布のエサゴナーレグラファイトクロスの後継技術です。
ロッドをカーボンシートで外部から補強する技術で、曲げや捻れに貢献しているそうです。
これが#2全体に覆われています。
立体的なので平面の4軸カーボンよりも存在感が凄いですw
スーパークワトログラファイトクロス
俗に言う4軸カーボンです。
#1は全て4軸カーボンに覆われています。
復元力や捻れ潰れに強くなるとのこと。
効果はさておき見た目もかっこよくなります。
これにより#1は4軸カーボン、#2は6軸カーボンとジョイント部分で別れます。
使用感
飛距離
筆者は主に3.0号と3.5号のエギをメインで使用しています。
ウエイト的にはそのどちらも投げやすいロッドです。
やや、3.0号の方が投げやすいですが誤差の範囲です。
飛距離はやはり3.5号の方が飛びます。
ファーストテーパーのティップにより、シャープなキャストでスコンと飛ばす感じです。
20gのメタルジグなどのルアーはかなり飛ばせます。
ロッドとしての飛距離はレングスも考えるとまあまあ飛ぶ、くらいの評価です。
プロトタイプカラマレッティーDUE862MLと比較してもあまり大差がありません。
ただ、ファーストテーパーのため、スイングスピードは速めに、打ち出すタイミングなどもレギュラーファーストのロッドに比べるとシビアです。
そのため、背後に障害物がありテイクバックし難い状況だとスイングスピードが足りずに飛距離が伸びません。
逆に言うと、スイングスピードさえ確保できれば、ルアーやエギのサイズに関係なく安定した飛距離が出せます。
あまりルアーに左右されにくいのがこのロッドのメリットです。
筆者のようにエギの合間にルアーを投げるアングラーにはありがたい要素です。
エギング中のナブラ打ちでも、様々なルアーをそれほど考えずに投げれるのはメリットです。
ロッドとしての飛距離は際立っている訳ではありませんが、スイングスピード次第で安定している、というのがこのロッドの特徴です。
操作性
ファーストテーパーのロッド、という特徴がロッドアクションにも大きく現れてきます。
ロッド自体はMLクラスなんですが、しゃくった時の感覚が他のMLクラスのエギングロッドとはかなり違います。
レギュラーファーストのDue862mlや18セフィアBB86mlのような、ベリーからエギの抵抗を吸収して衝撃を和らげてくれるような感覚がありません。
柔らかいティップが入った後、すぐに硬いベリーからバットの衝撃が使用者に入るイメージです。
これがスローテーパーのMLロッドなら、ロッド全体が、レギュラーやレギュラーファーストならティップ~ベリーはすんなりと入ってバッドでしゃくるイメージですが、
ファーストテーパーのこのロッドの場合はベリーから硬く入るので、柔らかいロッドをしゃくっている感覚にはなりません。
なので、体感ではMクラスのロッドをしゃくっているような気分になります。
柔らかいロッドを求めている場合はちょっと違う、となるかもしれません。
ティップは間違いなく柔らかいですが、しゃくるとベリー~バッドから強い衝撃が返ってきます。
それによって、MLクラスですがシャローだけでなくやや深い場所でもエギを動かしやすくなっています。
筆者はほぼシャローメインですが、沖磯などで使う場合は、他のMLロッドに比べると深い位置でもエギを動かせている気がします。
そういった事情から、MLクラスのロッドですが、正直疲れやすいです。
シャローでもガンガン、ベリー以下の反発が来るので、疲労の溜まりやすさは筆者の歴代MLクラスではダントツのワーストです。
感度
感度は非常に高いロッドです。
これは穂先だけ柔らかく、ベリーから一気に硬くなるファーストテーパーの恩恵が大きいです。
穂先では吸収できた衝撃が、硬いベリーで弾かれることで手感度として伝わってきます。
違和感をロッドで感じやすいので、テンションをコントロールすることで水中の様子を確認できます。
イカのアタリに関しては、筆者歴代ロッドと比較して圧倒的に高い、と感じるくらいの進歩はありませんが、それに繋がる感度がちょっとずつ微妙に高くなっています。
ようは間接的な部分の感度が上がっているので、イカのアタリに繋がりそうな変化もとらえられる、という感じです。
伝わってくる情報量が増えたので、そこから自分で判別しろ、ということでしょう。
特にルアーで魚を狙っている時のバイトの反応は顕著に現れます。
ルアーの感度も素晴らしく、ミノーなどの巻き抵抗の変化を捉えることができるので、前アタリの判別ができます。
この辺の能力は筆者の歴代のエギングロッドでは一番で、小型ルアーの感度だけならライトゲーム汎用のオールレンジ85TZ NANOよりも上だと感じます。
ロッドパワー
ロッドパワーはエギングロッドとしてもかなり高い方だと感じます。
イカは当然として、小型中型青物や大型エイを浮かせるパワーがあります。
これはエギングロッドのパワー帯が、ファーストテーパーと相性が良かったからだと考えられます。
ショアジギングロッドやシーバスロッドでファーストテーパーだと、ベリー~バッドが硬すぎて曲がらず、逆に魚を暴れさせたり、ロッドがのされてしまったり結果的にパワーダウンしてしまう場合があります。
ただ、このロッドはエギングロッドなので、上記のような曲がらないことがないため、ロッド全体を活かしたファイトができます。
硬めのベリー~バッドも綺麗な弧を描いて曲がってくれて、尚且つ、じわじわと粘る復元力を発揮してくれます。
つまり、使用時はファーストテーパーですが、パワーファイト時はスローテーパーのようにロッド全体が曲がってくれることで、衝撃をロッド全体で吸収してくれるようになります。
これにより、ジェット噴射は勿論のこと、青物のヘッドシェイクや急激な突っ込みにも追従するため非常にバレにくいです。
また、適度な負荷により無駄に魚を暴れさせず、強いロッドで寄せるよりも抵抗が少なく返って釣りやすい場合があります。
エギングしていてナブラが発生した場合も、そのままプラグをぶちこめるのは大きなメリットです。
汎用性
ロッドパワーもあり汎用性の高いロッドです。
20gくらいまでのルアーは扱えるので、様々な状況に対応できます。
小型青物を狙うには十分なパワーで、中型も強めのドラグ設定ならなんとかとれます。
柔らかい磯竿でファイトするような感じで、魚が暴れず抵抗が少ないため寄せやすいロッドです。
ただ、ライトゲームよりのターゲットになると、逆に苦戦します。
ティップで乗せてもベリーが弾くので、バラシが結構連発します。
また、フックが小さいとベリーからの反発で伸びてしまったりします。
ライトゲーム汎用ロッドと比較すると、ファイトの安定感でかなりの不安が残ります。
パワーファイトだとロッド全体が曲がるスローテーパーのようになりますが、そうでない場合は穂先しか曲がらないファーストテーパーなので、ベリーで弾いてフックアウトしやすいです。
その辺が、ライトゲーム汎用ロッドだとロッドが追従してくれるので、大きな違いとなります。
総評
王道ではなく若干ですが変則的なロッドです。
8.6ft前後のMLロッドの主流はレギュラーファーストやスローテーパーだと思うので、そことは異なる方に向かったロッドです。
シャローメインのMLロッドにしてはベリー以下の反発や衝撃が強めで、硬いと感じるかもしれません。
ただ、繊細なティップと硬いベリーにより振動が伝わりやすく感度の高いロッドです。
おそらく、その感度を狙ったファーストテーパーで、副産物としてパワーファイト時にスローテーパーのようなロッド全体が活かせるブランクスになったのでしょう。
操作性と感度、パワーを両立させたハイエンドに相応しいロッドです。