ルアりずむ

主にソルトウォーターのルアー釣りを嗜んでいます。タックルやルアーのインプレ レビューをメインで綴っていきたいと思います。ちなみにボウズが多いので、そのレベルだとお察しの上、参考にしてくだされば幸いです。

シマノ 16ムーンショット S906M インプレ

クロステージシーバス962Mの事実上の後任として購入したのがムーンショット906Mです。
16ムーンショットのシリーズになります。
9.6ftのMクラスという、万能な長さとパワーを持つロッドです。
ルアーからエサ釣りまで何でもロッドとして使用していました。

SHIMANO ムーンショット S906M


自重:167g
先径:1.7mm
元径:13.4mm
ルアーウェイト:8~42g
適合ラインナイロン:8~20lb
適合ラインPE:0.8~3号
カーボン繊維:96.3%

メジャークラフト クロステージシーバス962Mの使用感が微妙なので購入したのが16ムーンショット906Mになります。
そのため、用途もクロステージと同じでテトラやサーフ、波止場がメインです。
ルアー以外にもぶっこみ釣りや飲ませにも駆り出されていました。

かつては1万円台前半でオールSiCリングKガイド採用のロッドが多数ありました。
現在では物価高騰によりそのクラスはアルコナイトリングが主流になっています。
当時、SiCリングKガイドで最安値だったクロステージは筆者的には微妙だったので、ダイワのシーバスハンターXかシマノのムーンショットRまたは16ムーンショットが次の候補でした。
ただ、クロステージ以外は店頭在庫が不安定で、値引きもないため、場合によってはラテオやディアルーナの方が安かったりする微妙なポジションです。
特に狙いを定めた訳ではなく消去法的に選ばれたのがムーンショット906Mでした。

相棒のリールは17サハラ4000XGや20クレストLT5000など。
比較対照は二代目クロステージシーバス962Mとなります。
www.lurelism.com

仕様

自重
メーカー表記で167gです。

196gだったクロステージと比較すると30gくらいの大きな差になります。
更にガイドがシングルフックなこともあり、クロステージより持ち重り感は大幅に軽減されています。

ガイド
SiCリングのオールステンレスKガイドです。
21ムーンショット以降はアルコナイトリングKガイドが採用されているので、パーツ価格だけみればコストパフォーマンスの良いロッドです。

オールKWだったクロステージとは違い、バットのみKWで後はシングルフックのK ガイドが続きます。
それにより持ち重り感は少なくなっています。




初心者にとっては糸絡みは大敵なので、Kガイド採用は大きなメリットです。
昔はLCとLBDの組み合わせもありましたが、今では1万円以下のロッドはFUJIガイドですらないことも多く、糸絡みに悩まされていた人もKガイドで解決する可能性もあります。

継ぎ
逆並継ぎが採用されています。

特に抜けや固着もなく問題点のない継ぎでした。

グリップ

グリップはセパレートグリップになっています。
若干の軽量化には貢献しています。

初代ディアルーナでは恐ろしく締めにくかったリールシートのナットもEVAで覆われており摘みやすくなっています。

ブランクス

採用されているテクノロジーはマッスルループのみです。

ただ、低価格帯のロッドで問題になるカーボン含有率も96.3%ありダルさの少ないロッドに仕上がっています。

よって、ロッドのテイストはディアルーナと同じく硬めになっていて、あちらと比較しても遜色ないくらいには硬いです。
マイルドさは若干のみの硬めのロッドです。

マッスルループ

メーカーによると感度・強度・パワーが格段に向上するテクノロジーのようです。

Gクラフトのブランクスのような弾性率の高そうなテカテカしたカーボンで最外層覆っています。

ビジュアル的にも固そうに見えます。

これが初代ディアルーナと同じく#1の継ぎの上まで採用されています。

テーパー
レジュラーファーストくらいのテーパーです。
全体的に硬めでバッドも強めに仕上がっています。

使用感

飛距離
クロステージシーバス962Mよりは投げやすく飛距離は出る印象です。
ただし、硬いロッドが苦手な方には投げにくく扱い辛い印象になると思います。

ルアーはメタルジグだと30gくらいがベストで40gも投げられます。
9.6ftというレングスが絶妙で10gくらいのミノーでもそれなりに快適に投げられます。
基本的に軽めのルアーはロッドを曲げにくいため苦手になります。

硬めのブランクスのためロッドを曲げることができないと飛距離が出ません。
スイングスピードを速めるか、重めのルアーをチョイスするといったような一工夫が必要になります。
その辺りが硬いロッドが苦手な方にはネックになってきます。
ラテオのような適当に投げても安定して飛ぶロッドではないため、キャストにやや神経を削られます。

ただ、硬すぎたりブランクスの反発が強い訳ではないので、初代ディアルーナや15ルナミスよりは力を抜いてキャストできます。

それでも、エントリーモデルの価格帯であることを考えれば、やや癖のあるロッドです。
(ただ、1万円以下のロッドはカーボン含有率が極端に低かったり、謎ガイドにより糸絡みが頻発したりするので、それと比較すると扱い安いロッドだといえます)

クロステージシーバス962Mもスローよりのテーパーと弾性率の低いカーボン(そもそもカーボン含有率も低そう)なため、反応が鈍すぎて扱い辛いですが、こちらも人を選ぶ硬めのロッドのため万人にオススメできる万能性はありません。

ロッドを曲げることができればそれなりに飛距離は出てよく飛ぶロッドになりますが、曲げれない場合は全然飛ばない微妙なロッドという評価になってしまいます。

感度
同じレングス・パワーの比較対象がクロステージシーバス962Mしかないため、あちらよりは圧倒的に高い、としか言えません。

一応、硬めのロッドなので伝達力はそこまで悪くありません。
ブランクスもダルい感じではないので、思ったよりもバイトや着底などは大きく出ます。
感度が悪そうな価格帯ですが、思ったよりも普通に潮の変化も感じ取れるため、良くもないけど普通に悪くない、といった評価です。

ただ、使うシチュエーションを考えるとそれほど重要な要素でもなさそうなので、価格も考えると妥協できる点にはなります。

操作性

ロッドパワー
マッスルループのテカテカカーボンで補強されたバットが強いため、ロッドパワーはそれなりに高くなっています。

シーバスロッドですが、硬めのブランクスによりメタルジグなどの操作も得意です。

メタルバイブやヘビーシンキングミノーなど、引き抵抗の強いロッドも使いやすいです。
結果、青物などの大物狙いが得意なロッドになります。
サーフや堤防からのライトショアジギングには特に適したロッドです。

ただ、ティップ~ベリーも十分に硬いため小物はどちらかというと苦手になります。
ティップとベリーだけで弾いてしまいます。
そのため、ある程度体重のある魚の方がブランクスの性能を生かしやすいです。

コルトスナイパーなどのショアジギングモデルに行く前のお試し的な青物狙いのロッドとしては最適です。
自重も167gと軽いため、疲労感も少なく楽しめます。
そのまま太刀魚狙いに切り替えるにも最適なため、汎用性は高いです。

ファイト感
中型青物なら問題なく寄せることが可能です。
防波堤で青物をかけた場合でも、バッドが残るためポンピングで寄せてくることができます。
9.6ftのレングスのため、10.6ftのロッドよりもファイト時の体の負担は少なめです。

ティップ~ベリーが曲げ込まれた状態でも、硬めのバットが残るため耐えることができます。
巻けない場合でもバットを使ってポンピングで寄せることも可能です。
クロステージシーバス962Mのようにのされないのは大きな利点です。

また、高価格帯ロッドのような高弾性カーボンではないためか、曲げられた状態でも強い反発力が発生せずフックアウトのリスクは少ないです。
ただ、全体的に硬めのロッドであることはかわりないので、ヘッドシェイクを食らうとガンガンとバットに強い衝撃が走ります。
それがバラシの原因になる可能性は否めません。

また、全体的に硬めのロッドなのでヒットした魚の体重次第では弾いてしまう場合があります。
ロッド全体というよりは、ティップ~ベリーとバットで役割が別れてしまっているので、ややマニュアル的な要素のあるロッドです。

総評

9.6ftのMクラスという万能なロッドです。
たた、シマノらしい硬いロッドなので、合うか合わないかは使ってみるまでわかりません。
このロッドのテイストが合えば、ディアルーナに、合わなければラテオへと、今後のロッドの好みが分岐すると思います。

価格帯の制約はあるもロッドとしての完成度は高めで、ディアルーナに迫る性能を持っています。
クロステージシーバスで感じた低価格帯のロッドのイメージをやや変えてくれました。
ただ、エントリーモデルらしい誰でも使いやすいロッドではないため、価格帯にそぐわないやや人を選ぶロッドです。

後継は21ムーンショット96Mです。
SiCリングKガイドがアルコナイトリングKガイドにグレードダウンされています。
その代わりに、最外層をX状テープで覆うハイパワーXが採用されています。
トータルで見るとブランクスのグレードアップの恩恵の方が大きそうです。