ブレードマスター106の後任として購入したのがこのショアパトロール108です。
一応、ブレードマスターの後継モデルに当たるため、使用感等も想像しやすいだろうと思っての購入です。
盆ミスで破損するまでの間、サーフヒラメなどのフラットフィッシュや、青物狙いのライトショアプラッキング、タチウオワインドにまで駆り出されていたロッドですw
EVERGREEN ZAGS-108 ショアパトロール108
全長 3.25m
標準自重 188g
ルアー範囲10~40g
ライン範囲8~16lb
価格75,000円(税別)
エバーグリーンのシーバスロッド、ゼファーシリーズの後継シリーズであるゼファーアバンギャルドシリーズのロッドです。
ルアー適合MAX40gで10ft以上のロッドは、アバンギャルドのラインナップにはこのショアパトロール108しかありません。
そのため、サーフからのヒラメ狙いで、エバーグリーンのロッドを検討している人は必然的にこのロッドが候補になると思います。
筆者の同クラスのロッドの使用歴は
ディアルーナXR1006ML
ブレードマスター106
そして、ショアパトロールの後に購入した
モアザンブランジーノ1010ML/M
セブンセンス モンスターサーフ1072
となります。
ブレードマスターと同じく、オリムピック製の可能性の高いロッドです。
仕様
パワー表記
エバーグリーンのロッドはブレードマスターと同じくパワーの表記がありません。
こちらも筆者が独断でつけるなら、ML/Mが妥当になると思います。
特徴を一言で言うなら、ティップが柔らかくバットが強いロッドです。
ダイワの文言を借りるなら、MLクラスのティップにMクラスのバットです。
その辺りの特徴はブレードマスターと似ていますが、ブレードマスターよりもティップが固くなっており、癖のない使いやすいロッドに仕上がっています。
ここはとてもありがたい仕様ですw
ディアルーナやラテオ、どちらのユーザーもこのロッドはすんなりと受け入れられると思います。
で、問題のバットなんですが、ブレードマスターとはバット径がほぼ同じで、特徴も非常に良く似ています。
違いはバット部に4軸カーボンがあるかないかですw
径を太くすることでバットパワーを出している、といった方向性です。
46tの高弾性カーボンでパワーを出すモンスターサーフや、オフショアジギングロッドのように径は細いが厚みのあるバットのブランジーノとは、同じガチガチバットでも方向性が全く異なります。
単純明快、径が太くて硬いバットでパワーを出しています。
モンスターサーフ、ブランジーノと比較するとバット径は一番太くなります。
比較写真にはありませんが、厚みは抑えつつバット径でパワーを稼いでいるレイジー106MLよりもバット径は太いです。
自重
メーカー表記で188gです。
今の同クラスのロッドとしては決して軽い方ではありません。
ただし、前モデルのブレードマスターが200g越えだったことを考えると、軽量化には成功していますw
自重では軽くなっていますが、リールシート位置とテーパーの関係で、持ち重りの少なくバランスがよいのはブレードマスターの方です。
しかし、現在ブレードマスターほどリールシートの高いロッドは無く、ディアルーナ、ブランジーノ、モンスターサーフと全てショアパトロールと同じ高さなので、この点は気にする程ではありません。
合わせるリールはシマノなら4000番、ダイワなら旧3000番、LT4000番がお勧めです。
ロッド単体での持ち重りもリールと合わせることで解消されます。
ガイド
筆者待望のKガイドですw
オールチタンのSiCのガイドが採用されています。
Kガイド初期のロッドのため、バットガイドはKLガイドです。
ガイドに対しては特に何の不満もありません。
KL-Hのような足の高いガイドの方が飛距離が出そうですが、今のガイドでも特に失速感はありません。
ブランクス
黒い塗装の施されたブランクスです。
価格が価格なので、それなりのカーボンが使われていると思いますw
さすがにダルい感じはせず、シャキッとしたブランクスです。
4軸カーボン
オリムピックのスーパークワトログラファイトクロスと似たような4軸カーボンが採用されていますw
というより、多分それだと思いますw
“バットには4軸クワトロクロス補強でブレやロスを省いた超高感度仕様。”
エバーグリーンHPより。
もう余り隠す気もないのか、クワトログラファイトクロスだとわかるような説明ですw
上の2本がオリムピックのスーパークワトログラファイトクロスです。
非常に酷似しているのがわかります。
しかし、このビジュアル的な検証は無意味です。
なぜなら・・・
上が宇崎日新の4軸カーボンです。
非常に酷似していますw
何が言いたいかというと、4軸カーボンとはそもそもブランクスメーカーの自社技術や製品ではなく、そういったカーボンシートの既製品が存在していて、それを流用しているだけではないか、ということですw
真相は謎なのでそれはさておき、
こちらはロッドを外部から補強する技術です。
ロッドのビジュアル的にも格好良く仕上げてくれています。
バット径が同じで4軸が採用されていないブレードマスターとの比較では、捻れやブレについては体感ではわかりませんが、カーボンテープを1枚余分に巻いている分、硬さが増しているというのは感じます。
元ガイドの部分まで採用されており、より一層バットパワーの向上に貢献しています。
使用感
飛距離
飛距離に関しては10.8ftのロッドとしてみると、レングス相応の飛距離だと思います。
ディアルーナ1006MLやブレードマスター106よりは飛びますが、それは単純にレングスの差でしょう。
10.6ftから乗り換えると確かに飛ぶと感じますが、レングスが2インチ伸びていることを考慮すると、ショアパトロールだから飛ぶとは必ずしもいえません。
10.8ftというレングスは絶妙だと感じますw
そのため、飛距離に関してはレングス相応だという評価が妥当でしょう。
キャスト性
表記の通り10g~40gまでキャストできます。
メタルジグ40gもキャストできますが、ティップが柔らかいのでアクションをつけるのは難しいです。
メタルジグだと30gくらいが快適に操作できる重さになります。
軽いルアーも使いやすく、筆者は10g前後のバチルアーをこのロッドで使っていましたが、難なく飛ばすことができました。
ティップが柔らかいため、軽いルアーもティップ~ベリーを曲げて飛ばせます。
扱えるルアーの幅が広いというのが、このロッドの最大の特徴でしょう。
感度
ティップが柔らかい為、目感度と手感度の両方でアタリを感じるタイプのロッドになります。
ルアーの巻き抵抗に対してティップが入っていくため、違和感はベリーに振動として現れるイメージです。
ティップの戻りや挙動で着底やバイトを拾える、という意味での感度は非常に優れています。
テンションフォールでボトムタッチ&ゴーをする場合は、とてもわかりやすいです。
手感度でのテンション抜けはもちろん、曲がったティップも戻るので、2重チェックで着底のタイミングを計れます。
また、テンションフォール中のアタリもかなり大袈裟に出るため、アワセのタイミングを見極め易いです。
食い込みがとても良いので、アタリを弾くといった状態にはほとんどなりません。
反面、ティップが柔らかいので巻き抵抗の重いルアーを引くとティップがもたれます。
操作性
アクション性
結局は柔らかいティップをどう評価するか、です。
適合ルアーの下限値を広げてくれたり、ティップを使った手感度や目感度には優れていますが、
その柔らかさ故に巻き抵抗が重いルアーではティップがもたれ、ジグなどはティップが踊りすぎてアクション性は低くなっています。
また、柔らかく食い込みは良いですが、合わせはしっかりと入れないとフッキングは決まりません。
ベリーまで柔らかいので、バットを使ってフッキングを決めるつもりで合わせないと、フックを貫通できたか怪しい場合が多々あります。
ロッドパワー
バットパワーのあるロッドですが、その方向性はブレードマスターと同じく、太いバットによるものです。
青物などが掛かった場合、最終的には寄せることができます。
ティップとベリーがブレードマスターよりも硬くなった分、ターゲットにかけれる負荷は増えていますが、依然、硬いバットでの勝負になることは変わりありません。
そのため、負荷をじわじわと与えていく、というタイプのロッドではありません。
大物が掛かった場合は硬いバットで強引なファイトをするか、しないか、の選択を迫られることになります。
その境界はドラグ設定で決まります。
ゆるいドラグ設定だとバットはあまり曲がりません。
あまり曲がりませんが、ターゲット次第では浮かす、寄せる、耐えるの機能は果たしてくれます。
大抵のターゲットはこれだけで対処できます。
ただし、予想外の青物などがかかると、負荷をかけている訳ではないので止めることができません。
硬いバットを使ったファイトをするには、強めのドラグ設定が必要です。
ドラグ設定を強くすることで、ようやくバットが曲がり本領を発揮します。
その場合、戻ろうとする反発でじわじわ負荷をかける、のではなく、強力なバットでの強引な寄せとなります。
強引に止め、寄せることができますが、負荷の逃げ道がありませんので、当然、ラインやフックに全ての負荷が集中してしまいます。
勿論、使用者にも負荷はフィードバックしますw
ロッドがのされないようにひたすら耐える構図になるでしょうw
バットパワーを活かした強引なファイトを実行するには、相応のラインシステムとフックチューンが必要です。
逆にそれさえ備わっていれば、想定外の大物も力業で仕留めることができるでしょう。
汎用性
筆者はサーフでのヒラメや青物以外に、防波堤からのタチウオワインドや波止からのナイトシーバスなどでも利用していました。
扱えるルアーウエイトの幅が広いため、汎用性はとても高いロッドとなります。
また、ティップ~ベリーが柔らかいため小さなターゲットでも弾かずバラさずやりとりを行うことができます。
ロッドがオーバースペック過ぎた、と感じるシチュエーションはあまりありません。
レングスが長くて邪魔だと感じることはありますがw
それでも、10.8ftというレングスも丁度よく、これより長い10.10ftのブランジーノの場合、波止ではバックスペースが確保し辛く一気に扱いにくくなります。
たった2インチの差ですがとても大きな差ですw
1本で何でもこなせるという汎用性は高いです。
特に、適合ルアーの下限値の許容範囲が広い点は、類似スペックの他のロッドにはない特徴だと思います。
総評
まとめると、柔らかいティップ~ベリーにより扱えるルアーの幅が広く、食い込みの良さも確保できているロッドです。
反面、抵抗の重いルアーやロッドアクションにはあまり向いていません。
バットパワーはありますが、本領を発揮するにはロッド以外の要素に負荷を強要する形でのファイトになります。
ロッドのコンセプトはブレードマスターに近いですが、ブレードマスターの尖った癖のある部分がかなりマイルドになったのがショアパトロールです。
単純にパワーファイトがしたいなら、他のロッドの方が分があると感じます。
同じサイズの青物なら、ブランジーノ1010ML/Mの方が勝負も早く遥かに楽です。
柔らかいティップ~ベリーによる扱えるルアーの汎用性の高さ、食い込みの良さを評価するならこのロッドはとても良いロッドです。
バットパワーはメインで使うというよりも、いざと言う時にそういう力業もできる、という切り札的な存在でしょう。
サーフでの使い勝手は勿論ですが、それ以外のフィールドでの使用も視野に入れている人に特にオススメのロッドです。