ルアりずむ

主にソルトウォーターのルアー釣りを嗜んでいます。タックルやルアーのインプレ レビューをメインで綴っていきたいと思います。ちなみにボウズが多いので、そのレベルだとお察しの上、参考にしてくだされば幸いです。

ジークラフト モンスターサーフ MSS 1072 TR インプレ

108ショアパトロールの後任として購入したのがこのモンスターサーフ1072です。
少し先のタイミングでブランジーノ1010ML/Mを購入しているため、しばらく出番のなかったロッドです。

Gcraft MONSTER SURF Openarea SHOOTING Special MSS-1072-TR

レングス:10.7ft
ルアーmax:45g
ルアーベスト:M24g/V28g
ラインmax:PE1.5
ロッドウェイト:168g

ブランジーノの方が少し先に購入しているため、中々出番のなかったロッドです。
別に安かった訳でもなんでもありませんでしたが、当時は人気ロッドで入手が困難だったため、見つけたタイミングで確保のため購入した、という流れです。
あちらが壊れたらこちらを、程度に最初は思っていたため、購入後一年くらいはほぼ実戦に投入されることはありませんでした。

今ではブランジーノと状況に応じて使い分けるメインロッドになっています。
感度がすばらしいロッドのため、渋くなってきてから出番の多くなるロッドです。

ジークラフトのロッドとしてはミッドナイトジェッティー932PEに次ぐ2本目です。

合わせるリールは18ステラ4000XGや17エクスセンス4000XG、17ツインパワーXD4000XGなどです。

仕様

パワー表記
ジークラフトのロッドは伝統的にパワーの表記がありません。
モンスターサーフ1072に敢えて表記を付けるなら、MLとMの中間に当たるMLMになると思います。
どちらに寄っているかと言えばMLの方になるでしょう。

筆者の使用歴のあるロッドで比較すると、

ディアルーナXR1006MLと比べた場合、ベリー・バットがモンスターサーフの方が強く、ディアルーナXR1006Mと比較するとティップも含めて全体的にワンランク下のパワーになります。
ダイワの場合はラブラックスAGS106MLよりもティップ~バットまでパワーは高いですが、ラテオR106Mよりティップ~ベリーでパワーで負けるイメージです。

ここでのパワーはファイト時の強さではなく、あくまで操作性の話になりますw

よって、表記的にはダイワとシマノのMとMLの中間くらいで、MLクラスを想定している人の方が向いていると言った感じです。
Mクラスを想定して買うとややライトに感じるかもしれません。

ブランジーノ1010ML/Mや108ショアパトロールのように、ティップはMLでバットはMクラス、というロッドとは少し違います。
モンスターサーフはティップとバットで急激にテーパーが変わる訳ではなく、ベリーからバットまで徐々に強さが変化していきます。
46tバットですが、ガチガチと言うわけでなく、負荷に応じて適度に曲がってくれるため、ロッド全体を使ったファイトになります。

故にMLとMの中間のMLMで、どちらかに絞れと言われればMLクラスだと言えます。

自重
実計測で183gです。

メーカー表記は168gですが、実際は違いますw
プロトモデルの自重らしいので、本番は少し重量が増してしまっています。
ただ、ロングロッド故に数値上の重さにそれほど意味はありません。

実釣ではチタンガイドも相まって、持っていて軽いと感じるロッドに仕上がっています。
重心も手元に近いため、実際はかなり軽く感じます。

カイド
チタンフレーム、トルザイトリング仕様です。

地味にトップガイドもトルザイトリングが採用されています。
ここは一長一短でスナップの巻き込みや、ティップを地面にぶつけるなどの不注意には気を付けなければなりません。

ガイド配列はKRコンセプトではなく、ジークラフトの独自のガイド配列です。
バットガイドはKL-Hで、次からはKLガイドと続いていきます。

キャストの際の糸抜けは問題なく、ラインの放出性に関しては問題ありません。

バッドガイドがシングルフットなことからも、このロッドが想定する状況やターゲットはなんとかく察することができると思いますw
故にMクラスというよりはMLに近いロッドです。
ダブルフットガイドのロッドのような無茶をするには向いていません。

継ぎ
継ぎは印籠継ぎを採用しています。

根本はクロスカーボンで補強されています。
メーカーがわざわざそう表記する辺り、外層をクロスカーボンで補強する行為は意味がない、とは考えていないようです。
意味はあるが、必ずしも良い訳ではない、という解釈なのでしょう。

次に関しては緩んでくる、抜けるといったトラブルは今のところありません。

リールシート
リールシートはジークラフトではお馴染みの、位置を変更できる仕様のものです。
筆者はグリップエンドを長くとりたいので一番上で使っています。

位置を変更しないので筆者には恩恵はほとんどありませんが、リールシート位置を変えるだけでロッドの使用感やファイト感がかなり変わるので、拘りのある人には嬉しい仕様でしょう。

逆に一番上固定で使う人には微妙かもしれません。

グリップ

ストレートグリップを採用しています。
フロントグリップはブランクスに向かって細くなっていきます。

ブランクス

心踊るテクノロジーは採用しないのがジークラフトですが、ブランクスにはかなり拘っており、高弾性カーボンを特徴としています。

バットには46tカーボンが採用されています。
30t+40t+46tの組み合わせの様で、復元力の高さ、速さは筆者の所有する同クラスのロッドの中では随一です。

見た目も、如何にも高弾性カーボンといった感じの、テカテカしたブランクスです。

ティップセクションには30t+40tのカーボンを使用しており、こちらでも十分高弾性といえるカーボンが使われています。

そのため、振動を伝達する能力にかなり優れており、バイトや潮の変化、着底や水流の変化などの違和感が手感度として伝わってきます。

この高弾性カーボンを使用している、というのがジークラフトのロッドの最大の特徴だといえるでしょう。

使用感

飛距離
10.7ftのロングレングスと反発力によってかっ飛ぶロットです。
他のロッドとの一番の違いは、最後の一押しをティップがしてくれるという点です。

バット~ベリーの反発でルアーを飛ばす時に、ティップがクイッとルアーを押し出してくれるイメージです。
スリングで物を飛ばす時のような、穂先の反発がルアーを押し出してくれます。

これは今まで筆者が使用してきた他のロッドでは例がなかったので、モンスターサーフを使った当初は驚きました。
ミッドナイトジェッティーにはない感触です。

そのため、そこそこ重めの40gのメタルジグや、45gのメタルジグでも用意に飛距離を出すことができます。
反面、10g以下の軽めのルアーだと、ティップの押し出しのタイミングがベリー~バットの反発のタイミングと合わず、微妙な飛距離になってしまいます。
復元スピードが速すぎて軽いルアーだとタイミングを取るのが難しいイメージです。
リリースのタイミングより先にロッドが復元してしまっている、といった感じです。

やはり、ロッド全体を曲げ込める重さのルアーを投擲する時にこそ、その飛距離を最大に引き出せるようです。

感度
高弾性カーボンによる手感度に圧倒的に優れるロッドです。

108ショアパトロールや106ブレードマスターのような、繊細なティップによる目感度ではなく、振動がブランクスを通して手元に伝わる手感度に特に優れています。

そのため、バイトは増幅して感じられ、潮の抵抗や水流の変化も、ルアーの巻き感や操作感の変化から用意に感じ取れます。
軽量型のリールと合わせることで、感度を更に高めることができます。

高弾性カーボンの復元力の速さの恩恵か、バイトなどの違和感がややオーバーに伝わってきます。
着底の瞬間なども、ティップが弾けるように戻り、その衝撃が手感度として伝わってきます。

特に、魚がルアーの背後についた際に起きる水流の変化を感じ取れるのは大きなメリットです。
明らかに、次にバイトが来るのがわかりますw

感度に関しては筆者が使用してきた10ft以上のサーフロッドの中では一番のロッドです。

操作性

パワー
遠距離~中距離までは高いロッドパワーで魚の抵抗を許さないファイトができます。
ティップからベリー、バットまでスムーズに負荷をかけて曲げることができるので、魚との距離が離れている状況だとロッド全体で受け止めることができ、強力な負荷を与えることができます。

高弾性のロッドなので、復元のスピードと力は強いため、魚に抵抗を許さないファイトが可能です。

ただし、手前まで魚が寄ってきた、または手前で魚をかけた場合は、その復元力が仇となります。
距離が離れている状況でのヘッドシェイクやエラ洗いは対応できても、近距離でそれをされると反発力と復元力が仇となり、ロッドを煽って根掛かりを外すような、テンションの強弱がつきすぎてフックアウトする危険が増えてしまいます。

そのため、実際にバラすかどうかは別問題として、手前に寄せてからが怖いロッドです。
あまり慎重なファイトには向いていません。
抵抗される前に一気に仕留めなければ、反発によりフックアウトしてしまう危険性が高まります。

ロッドパワーは非常に高いですが、ヒラスズキロッドのような強引なファイトは得意ではありません。
大型のエイのヒレにスレ掛かりしてしまうと、ロッド全体の曲がり込みによる復元力でも手も足もでない場合があります。
底に張り付かれると引き剥がすのにも苦労します。
高弾性カーボンの復元力よりも強い負荷を、逆にロッドに与えてくるようなターゲットだと、まるで手も足もでなくなります。
メジロクラスを瞬殺できる頼もしさは、更なる大型魚が相手だと全く発揮されなくなります。

そのため、復元力で賄える範囲内のターゲット相手には無類の強さを誇りますが、その限界値を越えた相手にはなんとも頼りないロッドになってしまいます。
故にこのロッドのメインフィールドはサーフなのでしょう。
テトラ帯や磯のようなある程度の水深と起伏や障害物の多いフィールドでは、魚の方にも抵抗する余力があるため、サーフの時ほど楽なファイトにはならないのでしょう。

また、強力なロッドの復元力はターゲットに負荷を掛ける一方、使用者にも相当な負荷をかけます。
なので、パワーファイトに突入するとかなり疲れるロッドになります。

ファイトが楽なのはブランジーノ1010ML/Mの方です。
あちらはロッドが自動的に衝撃を吸収するので、何も考えずに巻くだけでいけますw
オートマチックなロッドだといえます。

一方、モンスターサーフは復元力が速くて強いため常にテンションのコントロールを強いられます。
マニュアルなロッドです。

どちらが良いかはケースバイケースなので、一概には言えませんが、ブランジーノの方が楽なのは間違いありませんw

こちらはテクニックも問われるので、筆者のようなヘタクソには厳しい状況も割とありますw

総評

サーフでフラットフィッシュやシーバス、青物を狙う状況ではオススメできるロッドです。
近年のサーフルアーの重量化にもなんとかついていけるパワー設定でもあります。

とにかく手感度に優れているのでバイトを拾う、前アタリや水流の変化を拾う能力は高いロッドです。
ロッドパワーも復元力で賄える範囲内であれば抵抗を許さず寄せる力はあります。

一方で、明らかにパワーの限界はあるので、より強いターゲットを想定するなら1092の方が良いのでしょう。

リミテッドモデルも出るみたいですが、筆者の体感だとこれ以上の高弾性ロッドは扱える気がしないので完全に見送りですw