アブガルシアから出ていたフラットフィッシュ専用ロッドです。
破損するまでサーフからのルアーフィッシングの汎用ロッドとして使用していました。
アブカルシア ソルティーステージ KR-X フラットフィッシュ SFS-1032-MH-KR
全長:10フィート3インチ(3.12m)
仕舞:159.5cm
自重:187g
先径:1.70mm
元径:13.9mm
素材:カーボン98%/グラス2%
ルアー:11.0~42.0g
ラインMAX:20.0lb
PEラインMAX:0.8~2.0号
アブガルシアから出ていたフラットフィッシュ用のロッドです。
フラット用のロッドは最近でこそ方向性が固まってきましたが、10g前後のワームやミノーがメインの柔らかいロッドから始まり、徐々に現在のようなメタルジグをはじめとした重たいルアーをぶん投げる硬いロッドに変質して行きました。
このロッドはメインルアーが軽いワームやミノーから、ハウルやヘビーシンキングミノーなどの30g前後のルアーに移った時期のロッドです。
比較対象はヒラメ用のシマノネッサCi4+108MMHかダイワ ソルティスト100MLフラットフィッシュなどです。
しかし、何れもロッドもテイストが違いすぎるので、シーバスロッドのラテオやディアルーナの106Mか106MLとの比較がメインになります。
仕様
自重
187gです。
10.3ftのレングスで187gとなれば、サーフロッドとしては重い方になると思います。
ただ、10.6ftのロッドと比較するとレングスの差からか持ち重り感は少な目です。
特に、ティップやベリーのガイドがかなり小さいため、それも相まって先重り感は軽減されています。
ガイド
ステンレスフレームSiCリングのKガイドです。
KRコンセプトが採用されています。
ただ、ティップセクションのガイドがかなり小さいです。
一応、メーカーの言い分ではガイド径を小さくすることで、フッキング速度を速めるとなっています。
ただ、こちらのロッドはMAX42g、PE1.0~1.5号がメインで、リーダーの太さを24LBとしても、ラインに対してガイドが小さく、ライン放出上はデメリットにしかなっていません。
ノットを巻き込めばかなりの抵抗になってしまいす。
それでもって、適合ラインのMAXがPE2.0号になっています。
実際は1.2号でもガイドが小さく感じる大きさです。
適合ルアーウエイトと想定するターゲット、合わせる糸の太さを考えるとなんともミスマッチなガイドになっています。
ここは正直、微妙な点だといえます。
特に青物などの大物にも適したロッドなので、PE1.2号~1.5号、リーダーも24LB~30LBと考えるとガイドが小さすぎてノットを巻き込まなくても放出上の抵抗になっていると感じる程です。
継ぎ
印籠継ぎが採用されています。
この価格帯では珍しい仕様です。
マーカーもあるため、朝マヅメ前の暗い時間帯でもガイドの向きを揃えることができます。
地味ですが便利な点です。
グリップ
コルクグリップが採用されています。
細身シェイプのジャストフィットAAAコルクとのこと。
これにより見た目は高級感があり、カッコよく仕上がっています。
手触りや使用感も良いです。
コルクグリップは好みが別れるかも知れませんが、筆者は好きなので好ポイントです。
リールシートはダウンロック式になっています。
ブランクス
心踊るテクノロジーについての記載はXカーボンテープのみです。
ブランクスの素材についての記載は特にありません。
アンサンドフィニッシュです。
見た目はカッコよく仕上がっています。
Xカーボンテープ
アブガルシアのX状カーボンテープによる外層補強です。
トルクを向上とねじれ防止の機能があるとのこと。
ただ、カーボンテープのピッチが荒いので、パッと見はわかりにくいクロスカーボンになっています。
どうせやるなら、もう少し密に巻いた方が見た目的にも良いのでは、と正直思います。
これがバットガイドまで搭載機されています。
テーパー
レギュラーテーパーになっています。
これにより、キャストはほぼオートマチックに決まりますし、ファイトもロッド角度を維持するだけで良いので、使い勝手の良いロッドになっています。
ブランクスの弾性率も程良いのか、ロッドの戻りのスピードも丁度よく、こちらからテンションを合わせにいく必要がありません。
使用感
飛距離
投げやすいロッドです。
レギュラーテーパーでブランクスの戻りも速くなく遅くなく程よい感じで、どんなルアーでも適当にキャストするだけで飛んでくれます。
あまりキャストにコツの必要ないロッドです。
30g~40gのメタルジグや30g台のシンペンやヘビーシンキングミノーなども投擲しやすいです。
現在のサーフフラットルアーのトレンドにもなんとか対応できるスペックがあります。
反面、ティップに繊細さがないため、シーバスルアーの10.6ft MLクラスなら使える10g前半や10g以下のルアーはこのロッドでは扱いにくくなっています。
どちらかといえばヘビーなルアーの方が向いています。
レングスが絶妙で防波堤などでも使いやすい長さになっています。
投げやすさと相まって汎用性は高いです。
感度
感度は正直微妙なロッドです。
シーバスロッドと比較すると穂先に繊細さが無いため、微妙な変化を捉える能力は低くなっています。
また、ブランクス自体の振動の伝達力も特に高くはないので、手感度もそれほど良くはありません。
総合すると、感度は良くもないし悪くもない、癖もなければ特徴もない感じです。
操作性
ロッドパワー
同等のレングスのロッドが無いので比較は難しいですが、10.6ftのシーバスロッドと比べた場合、MLクラス寄りです。
シーバスロッドとは違い穂先がそれほど柔らかくないため、食い込みの良さという点では劣ります。
しかし、ヒラメのような口の硬い魚には容易にフッキングを決められるというコンセプト通りの利点があります。
そのため、青物などもフックをしっかり貫通させることができ、キャッチ率の高いロッドです。
反面、エラ洗いをするシーバスやエソやマゴチのようなヘッドシェイクをする魚には弱くフックアウトしやすい印象です。
フラット用ですがヒラメの様な引き込む魚には耐えてくれますが、小刻みな動きには弱いです。
筆者のフィールドである中紀サーフや南紀サーフでは青物の確率の方が高いので、結果的には使いやすいロッドでした。
フッキングが容易なこともあり中型青物には向いています。
ファイト感
ティップからバットまで、ロッド全体を使って負荷をかけることができるため、ファイトは非常に楽なロッドです。
シーバスロッドだとティップは追従性に終止し負荷をかける役割はほとんどありませんが、こちらはティップからじわじわと負荷をかけれるため、弱らせる力は高いと感じます。
また、レギュラーテーパーのため、急激にロッドの強さが変わらず、安定したファイトが可能です。
バッドだけ強いロッドのような、不安定なファイトになりにくいというメリットがあります。
そのため、急激にラインテンションが変わることが少なく、使用者はテンションコントロールを要求されません。
ロッド角度をキープさえしていればいいのでとても楽なロットです。
総評
非常に使いやすいロッドでした。
価格帯を考えても完成度の高いロッドです。
唯一、気になったのはガイドが小さいことです。
メーカー的には理由のあるガイドチョイスとのことですが、実際に使用するとメリットよりもデメリットが目立つため、価格帯の都合でパーツコストを下げた、というのを疑いたくなってしまいます。
この辺りは価格帯の制限がある以上仕方ありませんが、ロッドスペックとはややミスマッチな仕様になっています。
筆者のロッドは最終的に継ぎの少し上くらいを破損して殉職となっています。
もちろん、廃盤なので後継モデルはSTFS-1032MH-KRです。
シリーズ自体が変わった感じです。