XRの前任、2010年のモデルです。
柔のラテオに対して剛のディアルーナ、そのディアルーナの方向性を決めた初代モデルです。
ディアルーナシリーズの中では最も癖が強く初心者には向いていないロッドです。
SHIMANO ディアルーナ S1006M
全長(m) 3.20
継数(本) 2
仕舞寸法(cm) 164.0
自重(g) 179
先径/元径(mm) 1.8/14.3
適合ルアーウェイト 8-42
適合ラインPE 0.8-3
グリップ長さ(mm) 410
カーボン含有率(%) 99.9
初代ディアルーナです。
シリーズの始まりでありながら、その特徴や癖が最も強いロッドです。
その理由はこのクラスには珍しいファーストテーパーにあります。
XR以降もディアルーナは硬めの路線を貫いていますが、初代に競べると遥かにマイルドになっています。
ファーストテーパーでロッドが全体に硬めのため、曲げにくいロッドに仕上がっています。
その曲げにくいという癖が、キャストやファイトを少し難しくしています。
その特徴を理解すれば面白いロッドなんですが、そうでなければ使いにくいロッドになってしまいます。
どういう経緯でこうなったのか、当時の状況はわかりませんが、シマノにしては冒険的なロッドです。
適合リールはシマノならC5000か4000番、ダイワなら旧3000かLT4000~LT5000がベストでしょう。
比較対象はディアルーナXR1006M、15ルナミス1006M、18ディアルーナ106M、ラテオR106Mなど。
仕様
自重
179gです。
XRで177gなのでほぼ同じです。
10.6ftのMクラスというスペック的には非常に軽いロッドになります。
ただし、このクラスのロッドの共通の問題ですが、ガイドがステンレスフレームなのでチタンフレームやAGSに比べると数値以上に重たく感じます。
188gの108ショアパトロールの方が持っていても使っていても軽い、というのが本音です。
ガイド
ガイドはステンレスフレームSiCリングのKガイドです。
内容はほぼXRと同じです。
ハイフレームのラテオQと比較されがちですが、ダブルフットなので致し方なし、ライントラブルなどなく特に問題ないセッティングです。
継ぎ
逆並み継ぎです。
若干、継ぎの遊びが少ないため、ロッドフェルールワックスなどで延命処置をしないとズレたり抜けたりします。
グリップ
グリップはセパレートグリップを採用。
これにより若干の軽量化には成功しています。
リールシート
Ci4リールシートが採用されています。
素材としては一つ旧式ですが、その形状も含めて後続のCi4+リールシートとの違いは使っていてもわかりにくいです。
むしろ、不満があるのがリールシートのスクリューの方です。
スクリューナットが小さいため、締め込みにくくすぐに緩んできます。
只でさえ小さくて回しにくい上に、滑り止めの凹凸が痛くて強く閉め込めない、という問題があります。
このFUJIのナットは天竜やヤマガブランクスがダブルナット仕様の時に使っているもので(当然、閉めにくい)、これをシングルナットとして使うのは軽量化を優先して血迷ったとしか・・・
下、XR
XRではここが改善されています。
EVE部分が追加されており、強く閉めやすくなっています。
なので、スクリューナットが緩んでくるという点はマイナスです。
ブランクス
XRと比較するとハイパワーXは共通ですが、あちらはスパイラルXがあるのに対し、こちらはマッスルループという違いがあります。
上から
ディアルーナ1006M
ディアルーナXR1006M
18ディアルーナ106M
15ルナミス1006M
全てハイパワーXによりX状のカーボンテープで舗装されていますが、初代ディアルーナのみマッスルループによりテカテカしたカーボンで覆われています。
マッスルループ
メーカーの説明では感度と強度、パワーが格段に向上するとのこと。
ハイパワーXと被っていて見辛いですが、バットから#1の継ぎの部分まで弾性率の高そうなカーボンに覆われており、テカテカしています。
恐らく、これがマッスルループでしょう。
同じくマッスルループ搭載のムーンショットも同様に継ぎまでがテカテカのカーボンに覆われているのでほぼ間違いないでしょう。
最近のシマノロッドではあまり見ない仕様です。
ブランクスの最外層を弾性率の高いカーボンで覆う、というテクノロジーなのか、その部分は明らかに張りが出て硬くなっているような気がします。(気がする、というのは人間は視覚情報が最優先なので、テカテカのカーボンに覆われているのが見えるだけで硬くなったと感じ取ってしまってます。)
このロッドは価格帯にしては珍しくファーストテーパーのロッドのため、それも相まってバット部分はかなりカチカチのロッドに仕上がっています。
ハイパワーX
シマノロッドではお馴染み、ブランクスの外層をX状のカーボンテープで覆う技術です。
見た目のカッコ良さに加えて、ねじれにも強くなるとのこと。
これが全身に搭載されています。
テーパー
ファーストテーパーです。
これがこのロッドの最大の特徴になっています。
ディアルーナXRや18ディアルーナとはそこが最大の違いです。
柔らかいラテオに対し、硬めのディアルーナシリーズは初代からの伝統だといえます。
というかテーパーのせいで初代が一番硬いです。
ファーストテーパーのため、ベリーから急激に張りが出てきて、バットに関してはマッスルループのお陰もあり、カチカチのガチガチに仕上がっています。
XR以降はレギュラーファーストになっているので、ベリーも多少曲げやすくなっています。
また、バットのガチガチ具合も緩和されているので、硬めのロッドではあるもの、初代ほどスイングスピードに拘らなくても投げれるようになっています。
使用感
飛距離
ロッドにあったルアーはよく飛びます。
反発によりかっ飛ばすことができます。
しかし、そうでない場合は微妙です。
適合ルアーウエイトはMAX42gとありますが、旧式の表記です。
今の表記だとジグウエイトはMAX50g、プラグウエイトはMAX42gと表記されているでしょう。
下限は8gとなっていますが、実際はかなり厳しいです。
投げやすいのは12gくらいからで、快適なのは15g以上です。
ファーストテーパーのロッドのため、ロッドを曲げることができた場合はその反発の恩恵を受けられ、飛距離は伸びます。
反面、ロッドをしっかり曲げることができないと、失速して飛びません。
レギュラーファーストで柔らかく曲げやすいラテオR106Mならば、大体のルアーはロッドが勝手に曲がってくれるので飛距離が出ます。
アングラー側が特に何もせずとも、ロッドが勝手に曲がってルアーを飛ばしてくれる訳です。
しかし、このディアルーナ1006Mは何もしなければロッドはしっかりと曲がってくれないため飛距離が出ません。
なので、アングラー側でロッドを曲げるための工夫が必要です。
具体的には、
①ロッドが自然と曲がる重さのルアーを投げる。
②スイングスピードを上げて強引にロッドを曲げにいく。
これらの対策が必要です。
①は簡単で、要はこのロッドで投げやすいルアーを投擲する、という方法です。
メタルジグなら30g~40g、プラグなら20g以上のものを投げることで、そのウエストにより無理やりロッドを曲げて飛ばします。
恐らく、意識しなければ自然とそうなっていき、気がつけば投げやすい重さのルアーしか投げないようになるでしょう。
そうなると、ルアーの選択肢幅が狭まります。
尚且つ、①のルアーの重さの調整だけだと投げやすいだけで飛距離が出ているとは言い難い状態になりますので、
②のスイングスピードを上げで強引にロッドを曲げる方法で投げる必要が出てきます。
要は、ルアーの重みがブランクスに乗り、ロッドが曲がり始めたら、スイングスピードを上げることでそこから更に強引にロッドを曲げる、というイメージです。
普段からファーストテーパーのロッドを使い慣れている人なら問題ないですが、この価格帯では珍しい仕様なので勝手がわからないと使いにくいロッドに感じられるでしょう。
XR以降はレギュラーファーストテーパーなので、ロッドが自然と曲がるルアーウエイトの幅が広がっています。
なので、同じ硬めのハリのあるロッドでも、テーパーの差が大きく現れてきます。
この場合、硬めのロッドという特徴をより増幅させています。
感度
感度は10.6ftのMクラスのロッドの中ではそこそこあります。
ファーストテーパーのロッドなので、ベリーからの情報伝達が速い上に増幅されて大袈裟に感じます。
ミノーなどを巻いている時にバイトがあると、引っ掛かるような、引っ張られるような強い抵抗を感じます。
この辺りはテーパーの癖がよく効いています。
ただし、それなりのサイズのターゲットのバイトは感じられますが、水流の変化や小さなアタリなどの繊細な感度は微妙です。
Mクラスでティップがそもそも繊細ではないため、そこの挙動から判別するということには向いていません。
その辺りはクラス相応といった感じです。
Mクラスの同価格帯としてはやや高いといった程度でしょう。
操作性
ロッドパワー
ロッドパワーは高く感じます。
これはファーストテーパーのせいもあり、ロッドが全体的にガチガチなことに起因します。
強引なファイトには向いています。
ターゲットがそれなりの大型であれば、ロッドが曲がりその真価が発揮されます。
カチカチのブランクスの復元力は非常に強く、ぐいぐいとターゲットを浮かせ、その抵抗する気力を奪っていきます。
大型エイのスレ掛かりの状況などにも強いです。
強いバットが残るため、ポンピングがとてもしやすく、強引に引き剥がすことが可能です。
ファーストテーパーですが、ハイエンドモデルのような高弾性ブランクスではないため、復元スピードが速すぎてバラすという状況にもなりにくいです。
ラインシステムとフック強度にさえ余力があれば強引なファイトは得意なロッドです。
反面、使用者にはかなりの肉体的疲労を与えるロッドになります。
何故なら、曲がりにくいブランクスをターゲットと使用者の2人で強引に曲げにいく形になるからです。
その負荷はターゲットと使用者の両方に分散され、曲がらないバットを曲げるために耐えることを強いられます。
ロッドがのされないように耐える必要があるため、パワーファイトは得意といいつつも疲れるという点で、正直、向いていないロッドです。
また、小物は苦手なロッドです。
ほぼティップだけで魚の抵抗をいなすだけになるので、ゆっくりファイトをしているとバラしてしまう可能性は高いです。
水面を引き摺ってでも強引に回収するのが良いでしょう。
中途半端に抵抗されるとベリーで弾いてフックアウトします。
ロッドが曲がらない、という弊害はこういった部分でも現れてきます。
XR以降は硬めのブランクスですが、負荷がかかるとバットも曲がるため、ファイトでは新型の方が楽になっています。
ただ、ポンピングまで視野に入れれば初代の方が寄せやすいです。
純粋なパワーファイトでは、ロッドがのされないのであれば、初代ディアルーナに軍配が上がります。
総評
癖の無い使いやすいロッドの多い価格帯の中では、尖った特徴を持ったロッドです。
硬めのブランクスの味付けに、ファーストテーパーという組み合わせにより、ベリー~バットが非常に硬い癖のあるロッドに仕上がっています。
なんとなく使えば扱いにくいロッドですが、その癖を理解すれば飛距離とロッドパワーを味方につけることができ、頼もしいロッドになります。
筆者は車内で穂先を破損してしまい、そのまま退役となってしまっています。
廃盤商品なので入手は中古品がメインとなります。
その後、ディアルーナXR→18ディアルーナ→23ディアルーナとモデルチェンジを続けています。