ルアりずむ

主にソルトウォーターのルアー釣りを嗜んでいます。タックルやルアーのインプレ レビューをメインで綴っていきたいと思います。ちなみにボウズが多いので、そのレベルだとお察しの上、参考にしてくだされば幸いです。

シマノ 20ツインパワー C3000 インプレ

ナイトシーバスとタイラバで使用しているリールです。
特にタイラバではスピニングタックルのメインリールを勤めています。
アルミニウムローターと半分がCi4+のハイブリッドアルミニウムボディを持つ剛性路線のリールです。

SHIMANO 20 ツインパワー C3000

ギア比:5.3
実用ドラグ力/最大ドラグ力(kg) 3.5/9.0
自重(g) 215
スプール寸法(径mm/ストロークmm) 47/17
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) 78
ハンドル長(mm) 55
ベアリング数 BB/ローラー 9/1

15ツインパワーから5年の周期でモデルチェンジとなったのが20ツインパワーです。
19年モデル以降はスタンダードとなったロングストロークスプールとマイクロモジュールギア2、そして賛否両論のハイブリッドアルミボディが搭載されています。

18ステラ以降、フル金属ボディはステラだけの特権となってしまい、ヴァンキッシュ以下はカーボン系樹脂のCi4+とのハイブリッド金属ボディになっていきます。
その流れ弾をくらい、ハイブリッドアルミボディになったことで、妥協案として金属ローターを手にしています。
(ハイブリッドアルミボディで従来のままの樹脂ローターなら、ベアリングが多いだけのストラディックになってしまうので、当然といえば当然ですがw)

逆に割りを食ったのがツインパワーXDでしょう。
フルアルミボディ・樹脂ローターの15ツインパワーに対し、フルアルミボディ・Ci4+ローターの17ツインパワーXDという立ち位置に価値がありました。
それが、ハイブリッドアルミボディ・アルミローターの20ツインパワーと、ハイブリッドアルミボディ・Ci4+ローターの21ツインパワーXDではインパクトに欠けてしまいます。
思うに、XDを金属ローターにして無印をCi4+ローターにするべきだったのではと・・・
(結果、ハイブリッドアルミボディにCi4+ローターだったサステインはひっそりとラインナップから消滅してしまっています。)

メインはスピニングタイラバで、たまにナイトシーバスという用途です。

比較対象は17セフィアCi4+C3000、ヴァンフォードC3000、ダイワの20ルビアスLT3000など。

ノーマルのスプールにPE0.6号を、夢屋18ステラスプールにPE0.8号を巻いて使っています。
ハンドルはリブレ ユニオン 52-58にEP41を装着したものを使用しています。

仕様

ローター

アルミニウムローターが採用されています。
恐らくこれが、20ツインパワー最大の特徴となっています。
11ツインパワー、15ツインパワーと樹脂ローターだったのが、ここにきてステラと同じアルミニウムローターを手にしています。
ボディがハイブリッドになったことでストラディックとの差別化のための措置でしょう。

ただ、リールとしては確実に進歩しており、樹脂ローターの15ツインパワーよりもベールの剛性は確実に上がっています。

特に、ロングストロークスプールによりローターが縦に伸びたため、Ci4+ローターなどは明らかに変形しやすくなってしまいましたが、20ツインパワーは金属ローターなので変形がほぼありません。

軽量化のためか、金属部分はコンパクトに納められています。
スカートの部分はよく見ると樹脂パーツが被せられています。
この辺りは22ステラとほぼ同じです。

ボディ

半分がカーボン系樹脂のCi4+、半分がアルミニウムのハイブリッドアルミボディが採用されています。
これは19ヴァンキュシュ以降のシマノリールの方針で、23ヴァンキュシュ、24ツインパワーと継続のようです。
一応、通常のCi4+よりは強度が増しているとのこと。

19ヴァンキュシュ以降、賛否両論別れましたが、20ツインパワーに関しては金属ローターを貰えたことでメリットの方が多くなっています。
(理想はフルアルミボディにアルミローターですが、その場合は樹脂ローターが当てられた可能性が高いのでハイブリッドの恩恵といえますw)

リールフットとボディ左側がアルミニウム、右側がCi4+になっています。
展開図的にはアルミニウムの方がフタという扱いです。

サイレントドライブ
内部のワッシャーの変更によりガタつきなどを抑えたとのこと。
とりわけハンドルのガタつきに大きく影響を与えています。

マイクロモジュールギア2
今ではシマノリールのスタンダードになりつつある機能です。

巻き上げ力の向上と滑らかな巻き心地に貢献しています。

ロングストロークスプール

こちらもスタンダードになりつつある機能です。
ライン放出を高め飛距離が向上するとのこと。

Xプロテクト
こちらもお馴染みになった防水機構です。

コアプロテクト以前のリールと比較すると防水性能は格段に向上しました。

リジッドサポートドラグ
スプール内とシャフト部の2点をベアリングで支える機構です。
これによりスムーズなドラグ性能を実現しています。

使用感

自重
カタログスペックで215gです。
19ヴァンキュシュの170gと比較すると差がありますが、12ヴァンキュシュで195gと考えるとかなりの軽量化が進んでいます。

実際、ここまで来ると持ったところで重量は感じられません。
ハンドルやスプールの軽量化を突き詰めれば200gは切れるでしょう。

タイラバやシーバスでは持ち重り感も含めて全く苦になる重量ではありません。
エギングでも十分選択肢に入ります。

巻き心地
ノーマルギアということもあって、非常に滑らかな巻き心地です。
ヌメヌメという表現がよく似合う巻き感です。

そして、金属ローターでありながら、巻き出しも軽いのが特徴です。

巻きの軽さなら20ルビアスLT3000や17セフィアCi4+C3000よりも上です。
ヴァンフォードC3000には巻き出しでほんの僅か劣るも、回転が始まると慣性の働く20ツインパワーに分があります。

巻き取りの力は強いので流れの変化を感じても違和感なく巻き続けることができます。

この辺りはタイラバで重宝します。
ヴァンフォードやセフィアだと、流れの変化に巻き速度を左右されやすく、常にスピードの再調整を求められます。
等速巻きが原則のタイラバでは、流れの変化は感じつつも、一定のスピードで巻き続ける必要があるため、負荷に対してもほぼ同じ力で巻くことができるツインパワーの剛性は一役買います。

リールパワー
青物や軟骨魚類のヒット率の高いタイラバでの使用にも負けないため、非常に重宝します。

これがヴァンフォードならローターの変形を、17セフィアCi4+なら巻きが重くなるなど、明らかに負荷を感じられます。
特にCi4+ローターだとリールフットやボディの変形が顕著で、あきらかに回転に異音が混じるような巻き重りが発生します。
それが20ツインパワーだと若干の巻き重りは発生するも、変形はほぼ感じられず、安心してやりとりに専念できます。
(ただし、タイラバのライン強度的に強引な勝負はできませんがw)
その点、ザイオンボディとローターは明らかにCi4+よりも変形が少ないため、強度と軽量化を両立するなら20ルビアスが良いでしょう。

結果、ボディがハイブリッドになったことによるデメリットというのが正直見えてきません。
Ci4+の部分が負荷を逃がしている?という話もなんとなく頷けます。

それでも尚、ハイブリッドボディに納得できない理由があるとすれば、ステラがフルマグネシウムボディであるということに尽きるでしょう。
その点がステラとその他のリールの差別化となっている以上、少なくともシマノの中ではフルメタル>ハイブリッドという関係が成立してしまっています。
上の問題がある限り、ハイブリッドのメリットを唱えたところで説得力に欠けてしまいます。

とはいえ、筆者所有のC3000クラスのノーマルギアでは最高の剛性感を感じます。
高負荷状態でも変形や巻きの変化を抑えられているため、不意の大物との遭遇率の高いタイラバにはかなり向いています。
他にはアベレージサイズの高いシーバス狙いなのでも活躍するでしょう。

ただ、タイラバでの使用を考えると、どうしてもベイトリールには巻き上げ力で劣っています。

そもそも巻き上げ量が違うというのもありますが、
真鯛のアタリに対し、オシアコンクエスト201PGだと無視して巻き続けられますが、20ツインパワーC3000だとリーリングを止められます。
そこはローターを回転させて糸を巻き取るスピニングリールの限界なのでしょう。

他リールとの比較

C3000リールとしては、19ヴァンキュシュや21エクスセンスも所持していますが、HGモデルのため使用感があまりに違うので除外です。

20ルビアスLT3000

コンセプトが違うため、比較対象としては微妙ですが、価格的なポジションでライバルになるのが20ルビアスLT3000です。

ルビアスは巻き心地は良いものの、その回転自体は重めです。

ただ、自重180gと軽量でありながら、ザイオンローターとザイオンモノコックボディにより剛性もある程度確保できています。
ギアの持続性も高いと感じます。

軽量路線でタックルを組むなら20ルビアス、不意の大物率が高く剛性確保の場合は20ツインパワーでしょう。

ヴァンフォードC3000

ヴァンフォードC3000で自重180g です。
ルビアスと同じ重量ですが、リールサイズ的にはあちらより少し小さめです。

エギングやライトゲームなら巻き出しの軽さや自重、逆に剛性の無さが感度になりヴァンフォードにもメリットがあります。
シーバスはケースバイケースで、マイクロベイトパターンやバチ抜けなどではヴァンフォードで十分ですが、落ちアユパターンなどサイズが大きい場合はツインパワーが安心です。
釣り上げる、という点では差はないですが、ヴァンフォードでパワーファイトを続けるとギアに負荷がかかるのか、巻きがザラザラしてきます。

ヴァンフォードは軽量で巻きも軽いですが、ロングストロークスプールによりローターが長くなったことで負荷がかかるとローターが変形しやすく、ボディもCi4+なので巻きも重くなります。
ローター変化はヴァンキュシュも同じですが、巻きの違和感はあちらにはほぼありません。ボディ素材の差でしょう。

価格帯が違うので比較としては微妙ですが、こちらも軽量路線ならヴァンフォード、剛性路線ならツインパワーです。
ただし、リジッドサポートドラグの差は大きいので、可能ならベアリング入りのスプールを使うか釣種専用XDシリーズがオススメです。

24ツインパワー
大方の予想通り、24年モデルとして24ツインパワーのリリースが発表されました。
19ヴァンキュシュの関係で周期を一時乱されましたが4年周期が復活です。

リリースタイミングも予想通りでしたが、24ツインパワーのスペックに関しても完全に予想通りだったのではないでしょうか?
内容も22ステラ、23ヴァンキュシュのテクノロジーがそのまま降りてきた感じです。
賛否両論のインフィニティループこと密巻きも勿論採用されています。

22ステラ以降、明らかに上位モデルはネタ切れなのか変化に乏しくなってきています。

総評

ある意味、シマノのリールコンセプトの方向転換により、よい方向に進化したリールです。
金属ローターと金属ボディによりC3000クラスではトップクラスの剛性を持つリールといえるでしょう。

ただ、筆者の持つC3000のノーマルギアという番手で考えると、そこまで剛性感が求められる釣種は限られてきます。
スピニングタイラバのリールとしては最適ですが、そもそもタイラバのスピニングタックルはマイナーな部類なので、汎用性の高い番手かどうかは微妙です。

C3000という小型番手のリールを使いつつも、ノーマルギアで巻き上げ力が高く、金属ボディと金属ローターにより剛性も高いという、クラス最強リールです。
ライトで不意の大物も視野に入れる必要のある釣りでは特にオススメです。

24ツインパワーの登場で安くなるなら20ツインパワーを、密巻きのインフィニティループが気にならないなら、ほぼ同じの24ツインパワーでもいいでしょう。