シマノのシーバス専用ブランド、エクスセンスのフラッグシップモデルです。
モンスターサーフ1072の感度をより高めようと、秋シーズンにメインで使用していました。
完全に予想外だったんですが、21エクスセンスとして19ヴァンキッシュベースでモデルチェンジしています。
17エクスセンス4000MXG
ギア比 6.2
実用ドラグ力 (kg)6.0
最大ドラグ力(kg) 11.0
自重(g) 245
スプール寸法(径mm/ストロークmm) 51/17
最大巻上長(cm/ハンドル1回転) 99
ハンド長(mm) 55
ベアリング数(S A-RB/ローラー) 11/1
16ヴァンキッシュをベースとしたシーバス専用リールのフラッグシップです。
ダイワのモアザンシリーズとは異なり、定番ではなく不意に現れるモデルです。
17エクスセンスの出現はわかりやすく、簡単に言うと16ヴァンキッシュのやり直しでしょう。
というのも、16ヴァンキッシュにも搭載されているコアプロテクトの評価があまり良くなかったため、次のステラのモデルチェンジを待たずにXプロテクト(汎用リール仕様)を17年モデルから投入を始めました。
17エクスセンスと16ヴァンキッシュの大きな違いは防水機能がコアプロテクトからXプロテクトに変わったことでしょう。
筆者は12レアニウムCi4+移行、4000番に関しては軽量系リールを選択肢から外していましたが、ここにきて復活させてみました。
19ヴァンキッシュという選択肢もありましたが、あえて16ヴァンキッシュベースの17エクスセンスを購入しました。
というのも、マグネシウムボディとアルミニウムボディでどの程度の剛性感や使用感に影響があるのか試してみたかったからですw
15ツインパワー4000XGと17ツインパワーXD4000XGを隔てていたのはローター素材の差でした。
樹脂製ローターとカーボン系ローターの差が、感度とリールパワーに影響していました。
そこで、今度は同じCi4+ローターで、ボディ素材の異なる17ツインパワーXDと17エクスセンスを比較することで、ボディ素材が剛性や感度、使用感にどのくらいの違いが現れるのかを知りたくなりました。
そのためには17ツインパワーXDとは設計の異なる19ヴァンキッシュでは都合が悪かった訳です。
モンスターサーフ1072の感度を突き詰めるという目的も相まっての起用です。
こちらも14ステラのハンドルに夢屋アルミラウンドノブ・・・でしたがハンドルが折れたので現在は18ステラのハンドルに夢屋アルミラウンドでカスタムしています。
スプールは基本16ヴァンキッシュで予備に17エクスセンスです。
www.lurelism.com
機能
ローター
カーボン系樹脂のCi4+製のNEWマグナムライトローターが搭載されています。
ローターに関しては17ツインパワーXDと全く同じです。
慣性が働かない変わりに巻き出しが軽く、巻く止めるのメリハリのついた操作が得意なローターです。
また、抵抗を感じやすく影響も受けやすいため、ルアーの巻き抵抗や流れの変化などがリーリングに影響してきます。
一言で言うと感度の良いローターです。
弱点は利点の裏返しで、魚の引き抵抗もリーリングに影響するということです。
ボディ
マグネシウムボディです。
19ヴァンキッシュがハイブリッドマグネシウムボディなのに対して、17エクスセンスはフルマグネシウムボディになっています。
その最大のメリットはカーボン系のボディと同等の軽さでありながら、それらよりも剛性を確保できる、というものです。
ある意味、今回最も意識した部分がこのマグネシウムボディの使用感なんですが、結論から言うとアルミニウムボディとは剛性面で大きな差があると感じました。
17ツインパワーXDとの比較では、感度面、抵抗を感じやすい、抵抗を受けやすいという点で圧倒的な差がありました。
Ci4+ローターによる巻きの軽さからくる感度とは別に、剛性面からくる感度というものを強く感じる結果になりました。
17エクスセンス、マグネシウムボディは悪く言えば剛性が無く、良く言えばそれによってルアーが受ける抵抗の影響を受けることにより感度の高いリールに仕上がっています。
17ツインパワーXDでは影響を受けずに感知されない抵抗が、17エクスセンスでははっきりと現れます。
これは剛性のある17ツインパワーXDでは影響を受けない抵抗が、剛性の無い17エクスセンスでは影響を受けた、と言い換えることができます。
マグネシウムボディは剛性に劣るがその分がそのまま感度に繋がっている、と言えるでしょう。
マイクロモジュールギア
マイクロモジュールギアが搭載されています。
ギアの歯を小型化し、噛み合わせる範囲を広くとることで伝達力とノイズの軽減を実現しているとのこと。
汎用リールでは14ステラ、16ヴァンキッシュに続き3番目の導入となりました。
今ではマイクロモジュールギアⅡとして、20アルテグラにも搭載されるほどありふれた機能となってしまいましたが、かつてはハイエンドクラスにしか搭載されていない、とてもありがたみのある仕様でした。
その恩恵なのか、巻き心地は確かに良いですが、15オシアコンクエストほどのマイクロモジュール感はありませんでした。
ギア比や構造の違いもあるでしょうが、マイクロモジュールギアという設計思想は同じでも、ベイトリールとスピニングでは別物なのかもしれません。
防水性
Xプロテクト
16ヴァンキッシュとの一番の差となります。
名称は同じですがSW仕様のものとは別物です。
コアプロテクトにラビリンス構造をプラスしたもの、といった感じです。
肝心の防水性に関してはコアプロテクトよりも優れていると感じます。
ラインローラー
17ツインパワーXDと同じく、マイナスドライバーで簡単にメンテナンスできるようになりました。
シマノがメンテナンス用の特殊撥水グリスを充填することを推奨しており、入手も容易なのでここはありがたい仕様です。
ドラグ
スプール内とシャフト部の2箇所のベアリングでスプールを支えるリジッドサポートドラグの仕様です。
ドラグ自体は他のリジッドサポートドラグ搭載機と同じですが、17エクスセンスはドラグノブに違いがあります。
ラピッドファイアドラグという、ドラグピッチが大まかになり素早く調整できるものが搭載されています。
エラ洗い回避などでドラグを緩めたり、障害物回避で強引に寄せる必要がある場合など、ファイト中に頻繁にドラグ操作をする人にはありがたい仕様です。
このラピッドファイアドラグに関しては好みが別れる部分かもしれません。
筆者はファイト中にドラグを基本いじらないので、細かい調整ができる汎用ドラグノブに変えて使用しています。
とはいえ、ダイワのクイックドラグやシマノのスピードドラグ程の調整スピードはないので、あえて気にする程でもないかもしれません。
使用感
自重
メーカー表記で245gです。
ロッドに装着すると数値以上に軽く感じられます。
この自重の軽さは合わせるロッド次第ではデメリットにもなる要素です。
10.6ftクラスのロッドに装着すると、重心が手元から離れる場合があり、持ち重りを感じられることがあります。
筆者はあえて重たいアルミラウンドノブを装着して多少の自重の足しにしていましたw
軽さを維持したまま使えばより感度は上がりますが、疲れやすいタックルになるので、そこは合わせるロッドや釣りのジャンルとの相談となります。
巻き心地
マイクロモジュールギアによりノイズが少なめ、に感じられます。
ただ、その感じが巻き心地が良いと感じるかはまた別の話ですw
12レアニウムと同じく軽い巻き感です。
空回り状態や抵抗のかからない状態では軽いですが、抵抗が掛かると重たく感じられます。
感度
圧倒的な感度です。
3つの要素で圧倒的な感度が確保されています。
一つ目がマグナムライトローターです。
カーボン系樹脂のCi4+の軽量ローターにより、巻き始めが軽く慣性が働き難いため、抵抗が掛かると勢いで回せず力の再入力を求められる、ことによる感度です。
二つ目が自重の軽さです。
タックル総重量が下がることで、ラインを伝わってくる振動が感じ取りやすくなります。
最後にマグネシウムボディです。
悪い意味で剛性の無さからくる、抵抗の影響を受けやすいという特性から、海の状況が伝わりやすく感度として現れています。
リールパワー
ルアー操作に関してはパワーの無さが感度になっているため、ここでは魚を掛けた後のファイト感です。
基本的に、4000XGという番手で想定するターゲットに対してパワー不足だと感じられる状況は無いと思います。
負荷が掛かると重たく感じられることは間違いないですが、巻けない訳では決してないため、ごり巻きもできなくはありません。
ただし、適してる訳では全く無いため、ロックショアジギングや磯ヒラスズキのような最初から強引なファイトが想定される釣りには適していないでしょう。
サーフや河川などに適したリールです。
他機種との比較
17ツインパワーXD4000XG
ローターは同じCi4+、ボディがアルミニウムかマグネシウムかの違いとなります。
マイクロモジュールギアの差もありますが、そこは誤差の範囲です。
ボディ剛性と感度の関係がよくわかる比較になります。
剛性のある17ツインパワーXDでは関係なく巻ける状況でも、剛性のない17エクスセンスでは影響を受けて巻きが重たく感じられます。
それは逆に、感度のない17ツインパワーXDでは感じられない抵抗を、感度のある17エクスセンスでは感じ取れる、と言い換えることができます。
感度を重視するなら17エクスセンス、剛性とパワーを重視するなら17ツインパワーXDが良いでしょう。
18ステラ4000XG
ベースや形状は違いますが、マグネシウムボディという共通点と、アルミニウムローターとCi4+ローターという違いがあります。
こちらはボディ剛性による感度は似たような感じで、ローターの差による感度の違いが出てきています。
Ci4+ローターでは抵抗に対して力の再入力を求められますが、アルミニウムローターでは抵抗を感じたまま関係なく巻き続けることができます。
単純な感度では17エクスセンスがやはり優れており、巻き取る力では18ステラが勝っています。
19ヴァンキッシュ
一応、19ヴァンキッシュのC3000番は所持していますが、こちらに関してはノーコメントといった感じです。
12ヴァンキッシュC3000と同様、番手が変わると土俵が違うので比較対象にするのは難しいです・・・
総評
感度を極めたリールです。
ある意味、完成されたリールだと感じます。
16ヴァンキッシュのやり直しだと理解していたので、21エクスセンスの発表は不意を突かれた感じですw
19ヴァンキッシュ、21エクスセンスは更なる軽量化に成功しているため、逆にロングロッドと合わせる人は17エクスセンスに優位性があります。
フルマグネシウムボディである点も、今となっては逆に優れたポイントになっています。
軽量、高感度の要素をリールで補いたい人にはオススメです。
海の状況を知る、という点では最適なリールだと思います。
後継機は21エクスセンスです。