メジャークラフトから出ていたクロステージシリーズのシーバスロッドです。
俗に言う二代目クロステージに当たります。
波止やテトラ、サーフなどでの何でもロッドという用途でした。
Major Craft CROSTAGE SEABASS CRK-962M
全長:9フィート6インチ
適応ルアー:15~42g
適応ライン:8~20lb
適応PEライン:1~2.5号
アクション:REGULAR
1万円丁度くらいで購入したロッドです。
かつては1万円台前半でも、SiCリングのKガイドが搭載されているロッドが結構ありました。
ただ、その後の物価高騰により、現在、この価格帯ではアルコナイトリングが主流となっています。
そのため、パーツ価格だけを考えればお得なロッドです。
ただ、ガイドは良くても実際はソルパラのKガイド仕様といった感じです。
初代クロステージ CRS-962M はSiCリングですがYガイドやLSGガイド、三代目クロステージ CRX-962MはKガイドですがアルコナイトリングです。
そう考えればSiCでKガイドの二代目クロステージはコスパに優れた仕様です。
9.6ftというレングスは防波堤やテトラなどを想定した選択でした。
今でこそ、10ft以上のロッドを使っていますが、波止に焦点を当てれば取り回しの面では9.6ftの方が便利です。
キャストのためのバックスペースがない場所や、上に電線がある場所なら多少は有利に使えます。
1本で万能に使える長さと強さですが、筆者のような10.6ftクラスのロッドと9.3ftクラスのロッドを使い分けている場合は中途半端で出番がなくなってしまいました。
よって、この長さと強さのロッドは現在ではほとんど使っていません。
比較対象はほぼ同じ価格帯のシマノ
16ムーンショット906Mです。
仕様
自重
メーカーでは自重は公表していません。
なので実際に計測してみると196gありました。
9.6ftのMクラスのシーバスロッドと考えるとかなり重めのロッドになります。
更に、実際の使用では数値以上に重たく感じます。
ブランクスが中弾性?で重いことに加えて、オールステンレスKWガイドであることが、かなり響いてきます。
持った感じはずっしりと重たく感じられます。
そのため、レングスは9.6ftですが疲労感は高めです。
ガイド
オールステンレスKガイドです。
更に、全てWフットのKWガイドで構成されています。
ガイドの耐久力には非常に適していますが、このロッドはそれほどパワーファイトに向いていないのでややミスマッチな仕様です。
強いてメリットをあげるなら、シングルフットよりも糸絡みが少ない、という点でしょう。
エントリーモデルとしては、糸絡み軽減と仮に絡んでもガイドが飛ばないというメリットがあります。
テーパー
レギュラーテーパーのロッドです。
そのため、ロッド全体を使ったゆったりとしたキャストと、ロッド全体が曲がり込む安定したファイトが特徴的です。
継ぎ
逆並み継ぎが採用されています。
ただ、継ぎは抜けやすいのでロッドフェルールワックスの使用が推奨されます。
特にナブラ撃ちなど力むシチュエーションではスコンッと飛んでいってしまいます。
グリップ
リールシートにはダブルナット使用です。
ただ、このロッドはそれほどパワーファイトが得意ではないので、蛇足的な要素になってしまっています。
ブランクス
ブランクスは恐らく中弾性で、粘りのブランクスになっています。
恐らく、ベースはソルパラで、ガイドをK ガイド仕様にしたものが二台目クロステージシリーズなのではないか、と疑っています。
ブランクス表面はサンド処理と塗装が施されています。
弾性率が低いので復元力もゆっくりで低反発なロッドに仕上がっています。
魚を暴れさせない、バラシにくいといったメリットがあります。
反面、感度は良くありません。
先径
先径は実計測で約1.9mmです。
元径
元径は12.7mmでした。
使用感
飛距離
そこまで飛ばないですが、飛距離の平均は安定するイメージです。
レギュラーテーパーで中弾性のブランクスにより、のっそり、ゆっくりロッドを曲げてキャストするイメージです。
スイングスピードが速いとブランクスがついて来ず、飛距離は落ちてしまいます。
レギュラーテーパーに中弾性ブランクスという組み合わせにより、ゆっくりゆったりしたロッドの特徴になっています。
ブランクス自体はそれほどルアーウエイトに左右されずに曲がるため、どんなルアーでも同じようにゆっくりキャストするイメージです。
飛距離は出ませんが、その平均が安定するので大体同じ場所に飛ばせます。
投げにくいルアーも無ければ、投げやすいルアーもない、虚無なキャスト感です。
初心者にとってこれが投げやすいかどうかは微妙です。
キャストに関しては16ムーンショット906Mの方が格段に投げやすいというのが本音ですが、あちらは硬めのロッドなので好き嫌いが別れます。
どちらも両極端なので、中間の使用感のロッドがあれば、それが初心者に適したロッドだと思われます。
ブランクスの特徴から、飛距離が必要なナブラ撃ちのような状況には向いていません。
力んでスイングスピードが速くなるとブランクスの戻りが追い付かず失速します。
ルアーはメタルジグなら30gくらいから、プラグなら16gぐらいから投げやすくなります。
ロッドを曲げて飛ばす、という基本的な動作を学ぶ、という意味では初心者にも優しい仕様ですが、せっかちだったり力みやすい人が使うと戻りの遅さが目立って飛ばないロッドになってしまいます。
感度
感度という点では正直微妙です。
ブランクスが中弾性で振動の伝達率が低くいため、変化を感じとる能力は低いロッドです。
加えてレギュラーテーパーなのでティップの繊細さというのがなく、余計に振動が伝達されてきません。
負荷のかかるファイトでは柔らかいロッドですが、ルアー操作の段階ではそこそこ硬いため、ティップの挙動も拾いにくい感じです。
ただ、MAX42gのMクラスというロッドの仕様を考えれば、感度に関しては差程気になる要素ではないかもしれません。
このロッドで使うルアーや狙うターゲットを考えると些細な問題でしょう。
ロッドパワー
触った感じだと硬く、パワーのありそうなロッドですが、実際はそこまで力強さはありません。
メーカーの説明では、
ランカーシーバスをパワーでねじ伏せるハイトルク、青物狙いでも威力を発揮するバットパワーの底力という謳い文句が説明されていますが、実際はそこまでパワーを感じないロッドです。
(ただ、青物は青物でもハマチやシオとちゃんと正直に書いており、嘘は全く書いてない感じですw
ランカーシーバスに対応できるのは、まあそうでしょうといった感じです。)
レギュラーテーパーと中弾性のブランクスにより、粘りはありますが、粘り強さはありません。
復元力がそれほど強くないので、じわじわと負荷をかける粘りというよりは、魚のヘッドシェイクや突っ込みをいなすための粘りです。
そのため、エイやサメなどの軟骨魚類や、中型以上の青物が掛かるとロッドが完全に負けてしまってかなり苦戦します。
復元力が弱いので体力を奪えずに暴走を止めるのに苦労します。
そのため、パワーファイトが必要な状況には向いていません。
磯やテトラのような障害物のあるエリアではコントロールが効かずに主導権を奪われがちです。
大きくないエイでも、底に張り付かれてしまうとひき剥がすにはかなり苦労します。
ロッドがよく曲がるためポンピングもあまり有効ではなく、ライン強度に頼った強引な引き上げになってしまいます。
ただ、魚の動きに追従するのでバラシにくいロッドではあります。
エラ洗いを連発されても、ラインに掛かるテンションをロッドが吸収するため耐えやすいです。
ヘッドシェイクでメタルジグを左右に振られたりする動きにもロッド全体が追従していなしてくれます。
掛けてしまえば、魚の抵抗には強いロッドです。
そういう意味ではシーバス狙いには適したロッドといえます。
障害物が多い場所などよほど難易度の高いポイントで無ければ適しています。
地味にタメが利くのでランディングしやすいロッドです。
手前で抵抗されても追従するためテンションの強弱があまり発生せずフックアウトを防げます。
更に、ランディングの際の魚の誘導もロッドを曲げ込んだ状態で一定の負荷を与えながら行えるため、無駄に暴れさせることなく取り込めます。
剛ではなく柔の竿です。
総評
SiCリングKガイドのシーバスロッド、という縛りの中で最安値を狙ったロッドです。
価格帯の制約がある点を踏まえても、価格相応といった性能です。
大ヒットだったソルパラに2千円くらい足せばクロステージを買えると考えるとお得です。
初心者のチョイスとしては良いですが、中級者のセカンドロッドとしては、弾性率が高くない点がダルく感じられ使い勝手が悪い印象を持つ可能性が高いです。
なので、初心者の最初の1本、またはノーブランドロッドからのステップアップ用のロッドです。
現在は三代目クロステージになっています。
ガイドリングがSiCからアルコナイトに変わりましたが、マイクロピッチフォースというX状カーボンテープによる補強とブランクス構造が加わり進化しているようです。