気になったカラマレッティーAT892MLの直接のプロトタイプということで購入したのがこのカラマレッティー プロトタイプ Due 892MLです。
筆者、3本目のプロトタイプDueとなります。
OLYMPIC GOCPDS-892ML-T
全長:2.67m
パワー:M-Light
アクション:Regular-Fast
ウェイト(g):102
先径(mm):1.4
元径(mm):12.3
エギ(号):2~3.5
PE ライン(号):0.4~1.0
カーボン含有率(%):99.1
カラマレッティーDUEとしては862ML、642Mに継ぐ3本目のロッドです。
悪い意味でこのロッドの存在はカラマレッティーATの購入を躊躇う原因になっていました。
チタンフレームKガイドにトルザイトリング、ナノアロイ、4軸カーボンなど、カタログスペックだけならハイエンドモデルと遜色ないロッドです。
オリムピックは892MLというレングスに思い入れがあるのか、ラインナップを絞ったその後のシリーズにも組み込まれていました。
(ただし、25スーパーカラマレッティーや25スーパーカラマレッティーATのラインナップからはなぜか消失)
比較対象は長さ違いのカラマレッティーDUE862MLと、カラマレッティーAT892MLになります。
仕様
自重
8.9ftもありながら102gとかなり軽量なロッドです。
実際持った感じも軽く、持ち重り感もありません。
単純なロッドとしての軽量化には成功しています。
ただし、しゃくった場合はロングレングスも相まって重めのしゃくり感です。
明らかにATの892やエサゴナーレの902と比較して重たいしゃくり感になっています。
ロッド自体が上記2本と比べてシャープでないため、空気抵抗が強く振り抜きに影響していると思われます。
上からスーパーカラマレッティーエサゴナーレ902ML-S 、カラマレッティープロトタイプDue892ML、スーパーカラマレッティーAT 892ML
バット径はDueが最も太くなっています。
そのため、実釣の印象として軽量ロッドという感想はあまりありません。
ガイド
トルザイトリングのチタンフレームKガイドです。
ガイドだけならハイエンドの仕様です。
KRコンセプトが採用されており、飛距離面やライン放出に関しても文句ありません。
ただ、トップガイドはやや小さめで、その他、ティップセクションは全体的にガイドリングが小さめのものが使用されています。
継ぎ
印籠継が採用されています。
特にすっぽ抜け等もなく問題なく使えています。
グリップ
セパレートグリップです。
カラマレッティー プロトタイプ Dueシリーズまでは華美な装飾が採用されています。
フックキーパーも標準装備です。
ブランクス
基本的な仕様は862MLと同じなのでそちらもご参照ください。
www.lurelism.com
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ナノアロイ
東レのナノアロイテクノロジー採用ロッドです。
端的にいうと破断強度が増すテクノロジーです。
かつては高弾性で破断強度も増したテクノロジーでしたが、今は弾性率のインフレに置いていかれて中弾性で破断強度が増したイメージの方が近そうです。
G-MAPS
オリムピック独自のブランクス構造です。
シマノのスパイラルXやダイワのX45にあたるテクノロジーです。
異なる方向のカーボンシートを重ねて潰れ剛性と捻れ剛性を強化しているようです。
スーパークワトログラファイトクロス
所謂、4軸カーボンです。
オリムピックではお馴染みの、4軸カーボンでのブランクス外層補強です。
これが#1の継ぎの少し上まで採用されています。
それより先はアンサンドフィニッシュのブランクスになっています。
使用感
飛距離
8.9ftのロングレングスも相まって飛距離は出しやすいロッドです。
エギは3.0号~3.5号が投げやすいサイズです。
2.5号は使用してないので不明ですが、3号の感じだと投げにくいと予想できます。
ルアーの場合はジグなら20g前後、プラグなら10g前後が使いやすい重量です。
レギュラーファストのアクションのおかげで、速いスイングスピードは要求されないため、場所や状況にあまり左右されずに飛ばすことのできるロッドです。
カラマレッティーATのような復元スピードはないので、ある程度ゆったりとキャストした方が飛距離は伸びます。
飛距離は出るも、投げるのは疲れるロッドです。
ブランクスの径、特にバット側が太いからなのから、振り抜きが重くキャストを繰り返していると疲れてきます。
また、ブランクスの反発もそれほど強くないため、シャキッとしたロッドのように穂先がすぐに収束してくれません。
それも相まってキャストが疲れるロッドになっています。
よく飛ぶけど疲れるロッドです。
感度
感度は微妙なロッドです。
長さ違いのDue 862MLと比較すると感度では大きく劣るイメージです。
単純に太目のバットによりロッド全体がごついため、振動の伝達率が良くありません。
また、高弾性のキンキンのロッドでもないため、金属的なアタリと形容される変化を捉えることには向いていません。
ただ、それに関してはATならわかるかと言われればそう言う訳でもなく・・・
エギングにおける感度に関してはロッドよりも使用者の技量に依存するため、少なくとも筆者はその域には達していないとしか言えません。
ただし、魚に関しての感度は普通に良いです。
これはエギングロッド全般に言えることかもしれませんが、バイトの伝達力は高く、はっきりと振動として現れてくれます。
適度な張りがあるためアワセも決まりやすいため、魚狙いのロッドとしては非常に使いやすいです。
しゃくり感
エギ3.0号、3.5号共に操作しやすくなっています。
2.5号、4.0号は未使用のため不明です。
ジャークはバット~ベリーで跳ね上げるイメージで、遅れてティップが押し上げる感じです。
8.9ftのレングスもあるため、ショートジャークよりもロングジャークの方が楽です。
キャストでも触れましたが、バット径の太さが振り抜きの悪さに影響しているため、しゃくり抵抗も高く疲れるロッドになっています。
加えて復元力もそのスピードも速くないため、ジャークにシャープさが無く疲労度の高いしゃくりになります。
同じDueの862ML と比較した場合、ブランクスのテイストが同じでも振り抜きの悪さ、空気抵抗の高さが、しゃくりの重さに繋がっています。
その点がシャープで振り抜きが良く、ブランクスの復元力のアシストがあるATの方がしゃくりやすいロッドです。
キャストとしゃくりにおいて太目のバットが足を引っ張っているイメージです。
操作性
ロッドパワー
ロッドパワーに関してはカラマレッティーAT892MLよりも高く感じます。
その一番の違いがバットパワーです。
メーカーがMクラスのバットを吟うだけあって太めのバットが搭載されています。
エサゴナーレ902やAT892よりも太いバットです。
(ただし、外径の話で、厚みは薄いブランクスだと思われます)
そのため、イカに関して問題ないことは言うまでもなく、小型中型青物やシーバスでも戦いやすいロッドになっています。
サゴシや60センチくらいのシーバスなら瞬殺、サワラでライン強度とドラグ設定次第で楽にやりとりできる、といった感じです。
パリパリそうなカタログスペックですが、復元力はそれほど強くないため、バットでしっかりと負荷を受け止めてじわじわと浮かせるイメージです。
ティップセクションも無駄に反発しないため弾きにくく、バラシの少ないファイトが可能です。
魚釣りに関しては安定した性能を発揮してくれるため、非常に重宝するロッドです。
ファイト感
強いバットで負荷を受け止めるイメージです。
ティップセクションがMLクラス、バット側がMクラスとなっています。
500gくらいのアオリイカやカマスやメッキなどの小型の魚が相手の場合だと、ティップ側はしっかりと曲がり込みつつも、バットはやや曲がる程度で耐えるイメージです。
ティップの追従性は高く、意外とバラシにくいロッドです。
この辺りはMLクラスのメリットだといえるでしょう。
キロ以上のイカや小型中型青物が相手だとバットもしっかり曲がり込み、ロッド全体を使ったファイトになります。
この辺りはロングレングスが活きてきます。
こちらの方がファイトは安定し、ヘッドシェイクやジェット噴射もロッド全体でいなしてくれます。
太目のバットはロッドパワーの底上げに大きく貢献していますが、良くも悪くもオーバーパワーな感じは否めません。
筆者のような魚も狙うケースは稀で、純粋なエギングロッドとしてそこまでのパワーが必要かは疑問です。
総評
ロッドとしての基本性能は高いものの、太目のバットをどう評価するかで賛否別れそうなロッドです。
MLクラスでありながら、太目のバットの影響で重たいしゃくり感のロッドです。
柔らかいロッドが好みでMLクラスを選択する人にとっては、当てが外れた仕様になっています。
MLクラスとしてはロングレングスも影響し、疲労度高めのロッドです。
エギングしつつ小型中型青物も仕留めるスタイルならドンピシャですが、そうでなければ強めのバットを生かせるかは微妙です。
バットが強くてもティップセクションは柔らかいため、深場でエギをしゃくるシチュエーションにはそれほど適していません。
よって、ややシャロー寄りのフィールドで、飛距離とパワーファイトの安定性を重視する人にオススメのロッドです。
Dueシリーズは現在は廃番、後続はヌーボカラマレッティープロトタイプではなく、24プロトタイプカラマレッティーで892L/MLとしてラインナップされています。