ヤマガブランクスから出ているオフショア、ライトルアー系のシリーズがシーウォークで、その中のタイラバ専用シリーズがシーウォーク タイラバです。
ヤマガブランクスといえば粘るロッドが特徴だと思いますが、当然、それを期待して購入しました。
購入前に期待していた以上に粘ってくれる良いロッドとなりました。
YAMAGABlanks SeaWalk Tairubber SWT-68ML
重さ(g):167
対応ルアー(g):~150
対応ラインMAX PE(号):1.5
カーボン含有率(%):89.1
紅牙X69HBやヌーボパグロ69ML-Sが100gを上限としているため、更に重たいタイラバを使う状況を想定して購入したのがこちらのロッドです。
筆者にとっては初のヤマガブランクスです。
MAX150gまでの重さに対応しています。
結果的には、筆者のフィールドではそのような状況にはほとんどなりませんでしたが、タングステンの100gや120gではこのロッドがやはり使いやすいです。
ロッドのテイストや方向性は非常に気に入っているのにタイラバとしてはシチュエーションが少なく持て余してる、そんなロッドです。
メーカーの適合リールはシマノだと100~200番ですが、筆者はオシアコンクエストの300番とセットで使っています。
タイラバロッドですが、タチウオジギングやライトジギングなどにかなりの適正のあるロッドですw
青物への適正も高いので、タイラバ限定ではなくなんでもロッドとしての活用が多いです。
仕様
パワー表記
ヤマガブランクスではMLクラスです。
ただし、タイラバロッドのパワー表記ほど統一感のないものはありませんw
メーカーによってバラバラですw
ヤマガブランクス的にはMLですが、ダイワならH、オリムピックならMであろうロッドですw
MAX150gは伊達ではなく、使いやすいと感じるのは100gくらいからですw
60gくらいだと、仮に無風で潮が動かない状況でも、タイラバの引き抵抗をほぼ感じずに巻き上げることができます。
デメリットは潮の抵抗や魚の反応を感じにくいことで、メリットはその裏返しですが、抵抗を感じにくいので巻いていて疲れないことです。
また、潮の変化の影響を受けづらいため、等速巻きが容易にできることです。
自重
メーカー表記で167gと、タイラバロッドとしてはかなりヘビーな方になります。
ただし、重心が手元に近いため、使っていて重たいと感じる状況はありません。
持ち重り云々は問題ないですが、この自重の重さは、軽量なタイラバロッドに比べると感度で劣る部分になっています。
ガイド
オールステンレスKガイドです。
バット側の3つのガイドがダブルフット。
そこから先はシングルフットのKガイドになっています。
筆者の所有する物のガイドリングはSiCですが、現在のメーカーのカタログではSiC-Sリングと記載されています。
新しい製造ロットのものから、SiC-Sに変更されているみたいです。
ジョイント
グリップジョイントです。
ブランクスに継ぎがないため、ロッドの真ん中から綺麗に曲がってくれます。
ワンピースとの違いは、ファイトでバットが残るのはグリップジョイント故なのかもしれません。
グリップそのものはストレートグリップです。
ロッドの重心を手元に近付けるために、あえてストレートグリップを採用している可能性があります。
ブランクス
心踊るテクノロジー等はありませんが、粘るブランクスです。
一言でいうと圧倒的に粘るブランクスですw
カーボン含有率やカーボンの弾性率が低いのか、シャッキッとしたブランクスではありません。
どちらかというと、戻りはゆっくりなブランクスです。
その特性からか、ファイト時はじわじわと負荷をかけてくれます。
どれだけロッドをぶち曲げられても、破断しそうな感じのしない、安心感がありますw
ティップ
チューブラーのティップです。
ソリッドに比べて目感度で劣るのは仕方ありませんが、このロッドは手感度もあまり良くありませんw
着底も正直、それほどわかり易くありません。
魚がタイラバの後ろに張り付いたことによる水流の変化、前アタリなどはほぼ感じ取れませんw
コツコツとしたアタリも状況次第では微妙、ガツガツと反転が始まれば確実にわかるといった感じです。
恐らくは粘るブランクスとレギュラーテーパーのアクションが影響していると感じます。
ただし、チューブラーでソリッドよりも硬いので、合わせを入れた場合にフッキングはしやすいです。
テーパー
レギュラーまたはレギュラースローくらいのテーパーです。
ファイトになると、バットはやや残りますがベリーから曲がります。
このアクションもロッドの大きな特徴です。
粘るブランクスに加えてレギュラースローよりのロッドの真ん中から曲がるアクションにより、魚からのあらゆる衝撃をロッドの曲がりだけで吸収してくれます。
青物が掛かった場合も、突っ込みに対して逐一、ロッドが曲がり衝撃を吸収してくれるので、バレる気がしません。
感度面が犠牲になった代わりに、ファイトでの安心感が得られた、といった感じです。
使用感
感度
感度はよくありません。
ロッドの振動が伝わる手感度も、ティップの挙動などの目感度の、どちらもかなり微妙です。
チューブラーですが、ブランクスの弾性率が低いのか、振動があまり伝わってきません。
加えてレギュラースローよりのアクションなので、ティップの挙動だけでは振動がそれほど伝わってきません。
更に自重も167gと、タイラバロッドとしてはかなり重く、軽量なタイラバロッドに比べて感度が大きく劣ります。
正に、感度が悪くなる要素のオンパレードですw
そのため、目感度に関してはほぼ絶望的です。
ティップの挙動で反応を探ることはほぼできません。
振動を拾う手感度の方も、粘りのブランクスとスローよりのテーパーが合わさって、ソリッドティップで繊細なタイラバロッドと比べるまでもなく劣ります。
そのため、このロッドでは感度を武器にした繊細な釣りをするのは適していません。
どちらかというと、大物狙いの豪快な釣りをするのに適したロッドです。
ただし、それでもライトジギングロッドと比べると感度は高いです。
そこはやはりタイラバロッドです。
タイラバロッドとしては感度が悪いが、ライトジギングロッドよりも感度の良いロッドです。
ロッドパワー
犠牲になった感度と引き換えに手にしたのはロッドパワーです。
単純なロッドパワーもタイラバロッドとしては高いです。
100g以上のタイラバを楽に巻けるパワーがあります。
ファイトでのパワーはどちらかというと、ライトジギングロッドに近いでしょうw
硬さ、という意味でのパワーはそれほどありません。
強いて言うなら、バットが残るので、そこだけは硬さによるパワーがある部分です。
基本的には粘りでパワーを引き出すロッドです。
戻りが遅いがじわじわと負荷を掛ける粘りのブランクスと、ロッドの真ん中付近から綺麗な弧を描いて曲がるテーパーアクションにより、徐々に魚の体力を奪っていくタイプのパワーがあります。
魚が走ればロッド全体が曲がり、負荷を掛け続けて止めようとします。
急な突っ込みなどの瞬間的な負荷にも、ロッドが追従して対応してくれます。
そのため、フッキングさえ決めてしまえば、バレる要素があまりありません。
ロッドが衝撃を吸収してくれるので、強引にファイトしたところで、ラインやフックへの負荷はかなり抑えることができます。
硬いロッドにありがちな、フックが伸ばされるパターンや、負荷に耐えきれずにラインブレイクするパターンは少ないでしょう。
ただし、柔のパワーで征するロッドなので、剛のパワー、力業はかなり苦手です。
止めないと根に巻かれる、とか、船底に擦られてラインが切れそう、といった時に強引に主導権を握ることは難しいです。
その場合はこちらの入力もロッドが粘って吸収してしまいますw
とまあ、ここまでほぼ青物の話ですw
真鯛に関しては、強引なやりとりが必要な要素がないので、ロッドパワーとしては完全にカバーしているでしょう。
青物が良く出るポイントではメインで活躍できそうなロッドです。
掛けなのか乗せなのか
どちらもこなせるロッドですが、どちらかというと掛けに向いています。
本来の用途である水深のあるエリアでのディープタイラバでは乗せで活躍できるでしょう。
電動タイラバでも、乗せでよいかもしれません。
ただし、筆者のフィールドのような、あまり水深のないエリアで、軽めのタイラバで乗せをやるにはちょっとロッドが硬いです。
乗るには乗りますが、ぶち曲げてこそ真価を発揮するロッドをあまり曲げずに使うのはちょっと勿体ない気がします。
ただし、掛けで使う場合はかなり全力でフッキングする必要があります。
粘りのブランクスと、スローよりのテーパーにより、合わせを入れるとロッドがぶち曲がり衝撃を吸収してしまいますw
弱い合わせだとフッキングしないので、全力で合わせる必要があります。
余分な衝撃はロッドが吸収するので、身切れや合わせ切れは起きにくいでしょう。
掛けてしまえば、ほぼなんとかなるロッドなので、そういう意味でも掛けとして優れていると感じます。
汎用性
紅牙X69HBやヌーボパグロ692ML-Sがソリッドティップを活用した繊細な釣りに汎用性があったのに対し、このシーウォークタイラバ68MLはライトジギング寄りの豪快な釣りに汎用性があります。
逆にイカメタルやティップランでの汎用性はありません。
メーカーでも紹介されていますが、タチウオジギングにはかなりの適正がありますw
適合ウエイトはMAX150gですが、180gくらいのジグには対応してくれます。
ロッドアクション的にベリー~バットでしゃくる感じになりますが、使用者への負荷が少なくとても使いやすいです。
タイラバロッドですが、青物やフラットフィッシュやロックフィッシュなどをタイラバやジグで狙うことにかなり適しています。
どちらかというと、大物狙いで活躍できるロッドです。
総評
筆者のフィールドでは、メインのタイラバロッドにはなれません。
潮が飛んでいたり、爆風だったりと、重量のあるタイラバを使うシチュエーションで活躍のできるサブロッドになっています。
このロッドが主役になるのはディープタイラバや電動タイラバなど、重いタイラバがメインの地域の人くらいでしょう。
青物が頻繁にヒットするフィールドや時期も活躍できるでしょう。
ただし、ライトジギング寄りの汎用性が高いため、他の釣りがメインの時にとりあえず持っていくロッドとして出番が多いです。
タイラバもするかもしれない、といった状況では、そのままジグなど他の釣りでも転用できるので、一本で幅広い釣りをカバーできます。
ライトジギングロッドでタイラバは感度が微妙過ぎて使いにくいですが、シーウォークタイラバ68MLではタイラバは勿論、ライトジギングでも使いやすい、という優位性があります。
適合ウエイト別やソリッド、チューブラーなどでロッドを使い別けている人、一本でタイラバとライトジギングなどの大物狙いの釣り幅広くカバーしたい人に特にオススメです。